ファーストクラスで世界一周だなんて手の届かぬ高嶺の花かと思いきや、実はちょっとの工夫でリーズナブルに実現することができるんです。アマゾン川、マチュピチュ、ウユニ塩湖、ナミブ砂漠、南アフリカ、オーストラリア、香港、インドネシア……。トラベルライターのたかせ藍沙さんが体験したとっておきの旅を、ここに公開!
ファーストクラスの格安航空券を見つけた!
18回にわたってお届けした「たかせ藍沙のファーストクラスで世界一周」は、お楽しみいただけただろうか。18回のうちの半数がCREA WEBの週間人気ランキングで上位3位(そのうち2回は1位!)となり、ほんとうにたくさんの方が読んでくださった。これはもう、著者冥利につきるというもの。今回は最終回として、私がどのように航空券を手配したのか、旅の後にどのような特典を手に入れたのか、お伝えしたいと思う。ひとりでも多くの皆さんに、ファーストクラスの旅を楽しんでいただくために。
実は、もともと世界一周をしたかったわけではない。「ファーストクラスに乗りたい!」、それだけだった。短い距離ならリーズナブルにファーストクラスに乗ることもできる路線があるけれど、それでは醍醐味を味わうことができない。ロングフライトだからこそ、フルフラットベッドでぐっすり眠ることができるし、食事も夕食と朝食をゆっくり楽しむことができる。でも、ファーストクラスには格安航空券がないので、正規料金を支払うしかない。ならば、少しでも安く乗ることができないものだろうか……。そして、見つけたのが世界一周航空券だった!
世界一周航空券は、各アライアンス(航空会社がマイレージプログラムなどをシェアしているグループ)が運賃を設定している。種類は以下の通り。
ANA(全日本空輸)を含む28社が加盟している「スターアライアンス」は、飛行距離で運賃が変わる3種類(111万8,800~147万5,100円)、JAL(日本航空)を含む15社が加盟している「ワンワールド」は、大陸の数により4種類(95万5,500~142万3,900円)と、飛行距離の1種類(112万6,100円。エコノミーは3種類)、エールフランス航空、デルタ航空など20社が加盟している「スカイチーム」は、距離によって料金が変わる3種類(150万3,600~195万6,100円、エコノミーとビジネスは4種類)だ。
それぞれ、別途、燃油サーチャージ、空港税、航空保険料などがかかる。そして、どの航空券も、大陸間の移動を入れて16区間まで飛ぶことができ、有効期限は、10日間以上(ワンワールドは下限なし)、1年以内だ。ルート選びにはいくつかのルールがある。東回りか西回りで、逆戻りができず、ワンワールドの飛行距離型運賃を選ぶと大陸内でストップオーバーできるのは4カ所のみ、などだ。また、通常のファーストクラスの搭乗客が得られる空港までの送迎など、一部のサービスは付随しない。
ここまで書くと、何だか種類が多くて選ぶだけでたいへん、と思われがちだが、各アライアンスのウェブサイトで簡単にルートを組むことができ、自動的に料金も計算してくれる。地図上の目的地をクリックして、フライトを選ぶだけでいいのだ。また、パリやニューヨークへの往復に使ってもいい。復路を往路とは別のルートにすればいいのだ。通常、JALファーストクラスのパリ往復運賃は約250万円だが、この航空券を使えば90万円台となる。格安だ!
世界一周航空券には、もちろんエコノミークラスも、ビジネスクラスもある。なぜファーストクラスが格安なのか。例えば、パリまでの往復は、エコノミークラスなら5万円台からある。仮に6万円とすると、ファーストクラスの250万円は約42倍。世界一周航空券は、最も安い「ワンワールド」の3大陸運賃が、エコノミークラスで33万5,000円、ファーストクラスで95万5,500円。たったの3倍弱なのだ! 3倍支払うだけでファーストクラスに乗ることができるのは世界一周航空券しかない。
しかも、連載初回でも書いたけれど、16区間飛ぶことができるので、95万5,500円の航空券なら、単純計算で1フライト約6万円となる。実際にはファーストクラスがないフライトもあるとしても、だ。「ファーストクラスの格安航空券と呼んでしまおう!」と思った(笑)。
2015.10.16(金)
文・撮影=たかせ藍沙