思わず笑顔になる「アップルパイ」

 「アップルパイ」も松本さん自慢の逸品。ひとつにリンゴ1個を使った贅沢なパイです。

「アップルパイ」(シナノドルチェ) 600円。チョコのデコレーションもかわいい。
「アップルパイ」(サンつがる) 600円

 「これもいたって簡単。リンゴを薄く切って、電子レンジで熱を入れて冷まし、バラのように組んでパイ生地の上にのせ、注文があってから焼き上げます」。「簡単」とはいえ、固いリンゴは薄く、柔らかいリンゴは厚めにと、リンゴによってスライスの厚みを変え、よりリンゴの風味が生きるよう工夫しています。

 大輪のバラの花のような姿に、思わず笑顔になるアップルパイ。砂糖もハチミツも使わないので、リンゴをそのままシンプルに味わえます。

ひとつひとつ丁寧に重ねていきます。

 品種での味の違いを楽しむのも一興。シナノドルチェはほんのり優しく、サンつがるはしっかりしたリンゴの風味。どちらもみずみずしくさわやかですが、軽く火を通したアップルパイで食べ比べると違いがよくわかる。次々に届くリンゴをアップルパイで食べ比べしたくなります。

2種類の「アップルパイ」1個600円。テイクアウトボックスには手書きのメッセージが。

 「アップルレモンケーキ」は、ワンホールにリンゴ3、4個を使い、リンゴの風味をレモンで際立たせたケーキ。モチモチした食感と、レモンを皮ごと入れ、酸味と苦みを生かした風味が新鮮。

 「りんごのガトーショコラ」は、リンゴのコンポートが入ったチョコレートケーキ。サンつがるにはカシスリキュールを、サンふじにはラム酒をと、リンゴに合わせてお酒を少しだけ入れるのがポイントだそう。ほろ苦いチョコの風味に、リンゴのさわやかさがプラスされて、独特の味わいです。

 リンゴの風味を大切にしたケーキは、他に「アップルチーズケーキ」もあります。リンゴの種類が変わったら、次々に食べ比べてみたい。

左:「アップルレモンケーキ」500円
右:「りんごのガトーショコラ」500円
アーティストによるリンゴのポストカードや手作り小物も販売しています。

 リンゴは、8月の「なつあかり」「なつおとめ」から始まって、「サンつがる」「シナノドルチェ」「秋映」「ふじ」「王林」「旭」「シナノスイート」「シナノゴールド」「サンふじ」……と、様々な品種が生産者から次々に届きます。「20種類くらいあるかしら」と松本さんはうれしそう。

 「いつかリンゴのランチやディナーも出したい。アップルポークとか、おいしそうでしょう。リンゴ好きの作家さん達の雑貨店もできるといいな」と夢を語ります。

 さらに、「毎月5日は、リンゴの日。月1回だけ、リンゴあめを作っています」と松本さん。リンゴのスイーツとドリンク、そして、リンゴあめで、リンゴのおやつを堪能したい。

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所在地 大阪市北区大淀南1-3-18
電話番号 06-7493-3019

宗田洋子(そおだ よおこ)
ライター。神戸生まれの神戸育ち。神戸を離れたことがない神戸っ子。ライター歴30年以上で、関西の雑誌の取材だけでなく全国誌でも関西取材を手がけ、老舗から新店まで回ったお店は数知れず。移り変わる街を見続けてきた。食いしん坊で飲んべえ。

Column

そおだよおこの関西おいしい、おやつ紀行

生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2016.10.09(日)
文・撮影=そおだよおこ