大渓谷に驚いた後は世界一のパンケーキを堪能

ヨハネスブルグからネルスプリット空港へ向かう飛行機の窓から見えたのは、こんなユニークな風景。

 南アフリカ一番の大都会、ヨハネスブルグから国内線に乗り換え、さらにめざしたのは、ブライデ・リバー・キャニオン自然保護区。アメリカのグランドキャニオン、ナミビアのフィッシュ・リバー・キャニオンと並び、世界三大峡谷と呼ばれている場所だ。

 峡谷というと、ゴツゴツとした赤茶色の岩肌が続く荒涼とした風景を思い浮かべるけれど、ここは緑がとても豊か。保護区を縦走する「パノラマルート」と呼ばれる道をドライブしながら、大自然の中の展望スポットを訪ねた。

緑に覆われた峡谷としては、世界最大規模のブライデ・リバー・キャニオン。

 ブライデ・リバーとは、「喜びの川」という意味。トゥリエル・リバー(悲しみの川)というのもあって、この2つの川が交わってできた渦の力で岩が浸食されてできたブルックス・ラック・ポットホールズは、景勝地でもありパワースポットでもある。ぽっかりと開いた穴にコインを投げ込んで願い事をすると叶うのだとか。

パワースポットとされるブルックス・ラック・ポットホールズでは、この後訪れるサファリで大型動物に出会えることを祈願。

 「神がこの地の素晴らしい景色に感動し、ここからアフリカの大地を創った」という伝説が残るゴッズ・ウインドー、ロンダベル(アフリカの伝統的な円錐形の住居)が3つ並んでいるように見えるスリー・ロンダベルズ、数々の滝……。走るほどに次々と景勝地が現われて、南アフリカの広さ、自然の雄大さを実感する。

パノラマルートにたくさんある滝のひとつ、リスボンフォール。

 実はこのドライブで楽しみにしていたのが、「世界で一番おいしい」と噂のパンケーキ。グラスコップという小さな街にある「ハリーズ・パンケーキ」は、はるばる遠方から訪れる人が絶えないという、人気のパンケーキレストランだ。

小さな街にあるパンケーキレストラン。世界で一番おいしいパンケーキが食べられるのだそう。

 パンケーキといっても、日本にあるような厚い生地ではなく、重曹を加えて焼いたふわふわの生地に具が包まれている、クレープのようなスタイル。具は甘いものだけでなく、野菜や肉もあってランチにぴったり。チキンレバー、チリコンカルネ、ラムシチューなどなど、メニューも豊富で選ぶのに迷ってしまう。

見た目はシンプル。具は多種類あって、オプションでソースやチーズもつけられる。

 私がチョイスしたのは、ほうれん草のクリーム煮とフェタチーズ。ナイフを入れると、たっぷりの具がとろりと出てきて、いい香り。これなら、ビールやワインの立派なおつまみにもなりそう。

左:チェダーチーズとマッシュポテトも追加して。
右:豚肉と桃を煮込んだ、ちょっと変わった具にもトライ。甘酸っぱくておいしい!

Harrie's Pancakes‐Graskop(ハリーズ・パンケーキ グラスコップ店)
所在地 c/o Louis Trichardt & Church streets, Graskop, 1270
電話番号 013-767-1273
URL http://www.harriespancakes.com/

マカデミアナッツもこの街の名物。陽気なナッツ売りのお兄さんから、道中のおやつを購入。

 「ハリーズ・パンケーキ」のあるグラスコップは、パノラマルート観光の起点となる街。1880年代にはゴールドラッシュで国内最初の金採掘場となり、世界各国から一攫千金を夢見た人たちが集まり賑わっていたという。

 今の名物はアフリカンシルク。道路沿いには専門店やお土産物店が並んでいて、食後に街をそぞろ歩きするのも楽しかった。

2016.08.25(木)
文・撮影=芹澤和美