ヒロインの夫役で注目された、朝ドラ「カーネーション」
――それまで演技は未経験だったと思いますが、どのように演技を学んでいったのでしょうか?
マネージャーのおかげで、映画やTVドラマ、Vシネ、いろんな現場の仕事を無我夢中でやらせてもらいました。いろんな方とコミュニケーションを取らせてもらって、そこからいい出会いに繋がっていったものもあります。周りの役者を見て、盗む技術もいっぱいあったし、とにかく現場でいろんなものを覚えていきました。でも、今考えると、分からないことだらけで、そのときご一緒した方には、たくさん迷惑をかけてしまったと思いますね。
――その頃の印象的なエピソードがあれば教えてください。
これまで何度も共演している波岡一喜と初めて共演したVシネで、刑務所に入所している彼の先輩役をやったんです。1シーンだけの出演だったんですが、気合いを入れるため、長い髪の毛をバッサリ切って坊主にしたんです。でも、当日の現場では帽子を被ることになって……(笑)。つまり、僕もマネージャーも現場がどういうものか、よく知らなかったんです。ひとつ作品をやるごとに、そういう失敗や経験を積み重ねて、お互いに理解しながら一歩一歩、歩いてきた感じがしますね。
――その後、11年、NHK連続テレビ小説「カーネーション」ではヒロインの夫・川本勝役に抜擢されました。
いちばん初めに世間の方に僕の存在を知っていただいた作品だと思いますから、これが転機になった作品といえるかもしれません。夫婦役だった尾野真千子さんはもちろんですが、小林薫さんは男が惚れる男じゃないですが、素晴らしい先輩と一緒にお芝居させてもらって、背中を見せてもらって、こういう役者になりたいと思うようにもなりました。
2016.07.29(金)
文=くれい響
撮影=橋本 篤