ものすごい駆け足でヨーロッパから北米へ

いよいよヨーロッパへ。チューリッヒ空港はモダンな雰囲気。

 12月10日、朝にカイロを出て夜7時にチューリッヒ到着。空港近くのホテルに1泊し、翌朝9時にはフランスのパリに向けて出発。着いて撮影して旅立っての繰り返しで、まるで旅芸人のようなスケジュールだ。時差もあるし体力は温存したい。機内でシートに座ったら、まず寝る! というのが鉄則になっていた。

カイロ→チューリッヒ→パリの移動はスイス インターナショナル エアラインズ。機内食は食後のチーズまでおいしかった。

 12月11日、パリのシャルルドゴール空港到着。フランスでの撮影地は、サンマロ湾に浮かぶカトリック巡礼の地、モンサンミッシェルだ。

 パリのモンパルナス駅から高速鉄道のTGVでブルターニュ地方のレンヌに行き、バスに乗り換え、モンサンミッシェルに到着したのは夜9時。小さなこの島の道は、幅の狭い石段がほとんど。スーツケースを持ってホテルのエントランスまで100段以上の石段を昇るのは、移動に疲れた身体には少々堪えた。

今は本土と道路で繋がっているが、19世紀に対岸から地続きの道路が完成するまでは、干潮時しか陸と繋がることのない孤島だった。修道院を目指す巡礼者たちは、潮がまたたく間に満ちてしまう前に、命がけでこの聖なる島に渡ったのだという。

 12月13日。いよいよ大西洋を越えて北米へ。パリからカナダのモントリオールまで約7時間半、そこからいよいよニューヨーク! のはずが、大雪によるフライトキャンセルのため、モントリオールで足止めをくらってしまった。

 急きょ、空港近くに1泊することになり、大混雑のカウンターで手続きをし、寒い中で1時間タクシー待ちをしてなんとかホテルへと向かった。旅も中盤で疲れが出始め、心も折れそう。

 ようやく到着した暖かな雰囲気のホテルでほっと一息ついたところで目に入ったのは、部屋の壁に飾られたピラミッドの絵。カナダの、しかもかわいらしいカントリー調のホテルになぜ? 5日前にクフ王の悪口をたたいたことを思い出し、背筋が寒くなった。

クフ王のたたりか? ニューヨークに向かうはずがモントリオールで足止め。

2016.03.08(火)
文・撮影=芹澤和美