マイナス30度の氷上で居眠りしたら……

クリスマス前のニューヨークは華やかに彩られていた。

 予定より1日遅れのニューヨークではマンハッタンに1泊し、12月15日、次なる目的地のカナダ、イエローナイフへ。

 北極圏から約500キロに位置するこの街は、高い確率でオーロラが見られるのだという。ニューヨーク→トロント→エドモントン→イエローナイフという乗継は、またもや途中で大雪による遅延に遭いながらも、エア・カナダは一面に雪が積もる白く美しい街に着陸した。

イエローナイフの空港は小さくてかわいらしい。到着ロビーには巨大なシロクマの剥製が。

 カナダ北限の街と聞いて、寒くて淋しい場所を想像していたら、大違い。イエローナイフは、ノースウエスト準州の州都として賑わい、先住民やアジアからの移民など多民族が暮らす都会だった。20世紀前半には金の鉱山が見つかりゴールドラッシュに沸き、金山の閉山後も、ダイヤモンドの発掘、そして現在はオーロラ観光と、美しく光り輝くもので今も昔も潤っている。

 この旅で最も気温が低かったのが、ここ。12月の平均最低気温はマイナス30度。しかも、真冬なので午前10時にようやく日が昇り、15時過ぎには日没を迎えてしまう。

到着した日の気温はマイナス15度。現地の人にとっては「春のような気温」なのだそう。

 イエローナイフでのミッションは、厳寒のなかのオーロラ観賞。イエローナイフは、オーロラベルト(オーロラが高頻度で発生する帯状の地域)の真下に位置し、周囲にさえぎる山脈もないことから、単純計算では、3日に1度の割合でオーロラが見えることになっている。現地の旅行会社で、マイナス100度まで耐えられるという防寒着と靴を借りて、観賞スポットである夜の湖へ。

左:マイナス100度まで耐えられる防寒服。この下はフリースとシャツぐらいでOK。
右:ときおり、ティピー(先住民が使っていた移動式住居)風のテントに入り温まりながら、夜空にオーロラが現れるのを待つ。

 といっても、オーロラは自然の奇跡。雲の向こうには優雅に光が踊っているはずなのだが、曇天のためか、この日はなかなか姿を現さない。

 時刻は深夜1時。もうオーロラには出会えないかも……。と諦めかけると緊張感がとけたのか、急激な眠気に襲われ、つい居眠り。マイナス30度の湖上で30分も熟睡してしまった。雲の向こうにうっすらと緑のコントラストが浮かび上がったような気はするが、夢だったのかもしれない。

イエローナイフの真冬の昼のアトラクションといえば、犬ぞり。犬たちは走りながら、喉の渇きを潤すために雪を食べ、用も足すように訓練されているから当然、オナラもする。この強烈な匂いに何度も気を失いそうになったけれど、それも貴重な体験。

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2016.03.08(火)
文・撮影=芹澤和美