リズムで焙煎するコーヒー、五感で造る焼酎

コーヒー好きを唸らせるロースターショップ。音楽が流れるギャラリーのような店内では、挽き立てのコーヒーを湧き水で煎れて提供している。

 天草はなぜか、コーヒー通が多い島でもある。天草産の樫木炭で丁寧に遠赤焙煎したオーガニックのコーヒーが買えるのは、「COFFEEFRESH.JP」。古民家を改装した店内では、オーナーの平井憲一さんが、音楽に合わせてコーヒーを焙煎している。

 豆はとても新鮮なうえ、特注した鉄板の上で滑らせるように焙煎しているから、味は角がなくすっきり。初めてここのコーヒーを口にしたときは、「九州の島で、こんなに洗練されたコーヒーが飲めるなんて!」と驚いてしまうほどだった。

沖縄でDJ活動をし、天草にUターンしたのち、「地元の人においしいコーヒーを飲んでもらいたい」と、店をオープンした平井さん。空間を満たしているのはコーヒーの香りと心地よいリズム。

COFFEEFRESH.JP
所在地 天草郡苓北町坂瀬川3710-1
電話番号 0969-37-0966
営業時間 9:00~17:00(注文後に焙煎するため、あらかじめ電話で問い合わせを)
定休日 日曜・祝日
URL http://coffeefresh.jp/

左:ホーリーバジル茶は、冷え性や精神疲労にも効果的なので女性におすすめ。
右:畑はユカリシャスさん宅の目の前。山からパイプで引いた湧き水は、畑に撒かれるだけでなく、家族の生活用水ともなっている。

 天草の新しい名産ではないかと密かに思っているものが、ホーリーバジル茶。ホーリーバジルは、サンスクリット語でトゥルシーと呼ばれるハーブ。英語で「聖なるバジル」と呼ばれているのは、ストレスを和らげたり、血液浄化や免疫力を高める効果があると言われているから。

 山から湧き水を引き、緑豊かな自然の中でホーリーバジルを育てているのは、ミュージシャンでもあるユカリシャスさん。天草の環境に魅せられ、家族で移住したライフスタイルもステキで、憧れてしまう。

麻こころ茶屋(ホーリーバジル取り扱い店)
所在地 上天草市大矢野町上6586-3
電話番号 050-1384-6145
営業時間 11:00~16:00
定休日 水・木曜
URL http://macocorochaya.life/

創業は明治32年の老舗。お盆明けから始まる120日間の仕込み期間中、若旦那は深夜から蔵に籠り、夜通し作業をする。

 米焼酎のおいしさに惹かれ、蔵を訪ねたのは、天草唯一の酒蔵、「天草酒造」。人工的な温度管理をせず、手作業にこだわり造られる焼酎は、個性はあるもののクセが強くなく、料理をしっかりと味わえる素直な味。蔵の窓を開けた時に吹き込む潮風が、もろみをおいしくするという説も。

左:老舗ながら商品開発も果敢。和製グレープフルーツと言われる天草晩柑の果汁と焼酎を合わせた限定販売の「天草晩柑リキュール」は、休日の昼下がりに飲みたくなる爽やかな味だ。
右:芋焼酎「池の露」(左)のラベルに描かれているのは、蔵の前の風景。島内限定販売の米焼酎古酒「天草」(右)は、焼酎が苦手な人でもリピートしてしまう、まろやかな味。

 時代に逆行するアナログなスタイルを貫く理由は、ただ伝統を守るためではない。ここでしかできない味、おいしい酒を造ろうとした結果、行き着いた方法なのだという。「風土や背景もお伝えしてこそ、天草の酒。ある程度の環境づくりをしてやれば、この蔵にしかない酵母ができるんです」と4代目社長の平下豊さん。

天草酒造
所在地 天草市新和町小宮地11808
電話番号 0969-46-2013
営業時間 8:00~17:00
定休日 日曜、祝日
URL http://ikenotsuyu.com/

2015.12.01(火)
文・撮影=芹澤和美