世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。

 第114回は、芹澤和美さんが、熊本県の天草で出会った最高の食材についてレポートします!

太陽が降り注ぐオリーブ畑とマルシェで買い物三昧!

天草をドライブしていると、いたるところで目にする美しい海。この海と太陽こそが、おいしくて安全な食材を育てる。

 取材で何度か訪れている天草。ここを訪れた帰りのスーツケースは、いつも隙間がないほどいっぱいになる。なぜなら、ほかでは手に入らない貴重な食品をついつい買い込んでしまうから。燦々と降り注ぐ太陽、ミネラルたっぷりの海、爽やかな海風が吹く豊かな環境は、極上の食材や調味料を育てている。

2010年にスタートしたオリーブ栽培。この農園で育った島産オリーブ100%のオイル「AVILOエクストラバージンオリーブオイル天草100%リミテットエディション」は、発売すると、まもなくして売り切れてしまう人気商品。

 たとえば、オリーブオイル。地中海に似た気候の天草では、大小さまざまな農園がオリーブ栽培に励んでいる。島内最大のオリーブ園が、「天草オリーブ園AVILO」。酸化を防ぐため手間のかかる手摘み式で摘んだオリーブは、24時間以内に園内の搾油場で搾られ、極上のエクストラバージンオリーブオイルとなる。

天草オリーブ園AVILO
所在地 天草市五和町御領蛍目1580-1
電話番号 0969-32-0366
営業時間 9:00~17:00
定休日 無休
URL http://www.avilo-olive.com/user_data/amakusa.php

 太陽の光が降り注ぐ天草は、海もはっとするほど透明度が高い。そして、きれいなだけでなく、潮流もいいからミネラルのバランスもいい。当然のことながら、海水を使った塩作りも盛ん。

「天草塩の会」のハウスの中で、ゆっくりと結晶が進む天然塩。材料は、目の前に広がる美しい海から汲んだ海水だ。海のミネラル成分そのままの天然塩はまろやかで、一度使うと手放せなくなる。

 各塩工房では、汲み上げた海水を使って、達人たちが天然の塩を作っている。濃縮した海水を釜で炊き上げる「煎ごう塩」や、濃縮した海水をハウスに入れて結晶化させる「天日塩」など、どれも手間をかけて作られたものばかり。そして、母なる海の栄養分がぎゅっと凝縮している。

左:天草本土から橋で繋がる通詞島にある塩工房「自然食品研究会」。櫓の中で太陽と風の力を利用して循環させ、それをハウスの中で結晶化させて塩を作る。
右:海には野生のイルカが棲みつき、素もぐりによるウニ漁も行なわれる通詞島。のどかな港を歩く猫も人懐っこい。

 天草のこだわり食材が一堂に集まるのが、青空の下で行なわれるマルシェ。老舗の味噌屋からベーカリー、ジビエのシェフなど、個性派の作り手がブースを構えていて、とても賑やか。

 会場には、無農薬の野菜やフルーツを使ったジュースやジャムなど、旅行者でも気軽に買えるものもたくさん。なにより、「おいしそう!」と思ったものをテイクアウトして、芝生に座って食べたり飲んだりと、ピクニック気分を味わえるのが楽しい。

左:ジビエ料理やフレンチコースのケータリング、フードコンサルタント、商品開発なども手がける若きシェフ、松田悠佑さん。イノシシを特製の調合スパイスで味付けしたハンバーグの真空パックは、マルシェでもあっという間に完売。 右:移動式コーヒーショップ、「楽園珈琲」。新鮮な豆を自家焙煎し、経験豊富なバリスタが一杯ずつていねいに淹れるコーヒーは、天草のマルシェのみならず、九州各地のイベントでも大人気。
この日、マルシェでランチに食べたのは、天草産のブリをパンに挟んだ「ブリドッグ」。トルコ名物「サバサンド」を彷彿とさせるメニューは、創業70年の老舗ベーカリー「吉永製パン所」のオリジナル。マルシェなどイベント時だけ登場する。

天草空港マルシェ
開催日 第2日曜
開催場所 天草空港前

島んもんマルシェ
開催日 第4日曜
開催場所 大矢崎緑地公園

2015.12.01(火)
文・撮影=芹澤和美