マレー系のビーフヌードル

 さて、最後に紹介するのはマレー系のビーフヌードルです。冒頭でビーフヌードルは中国系の料理とお伝えしましたが、マレー系にも牛肉を具にした麺があり、これもとってもおいしいです。

あっさり上品な味の透明なスープ。麺は極細のビーフンで、揚げ玉ねぎの香ばしさ、パクチーの爽やかな香りが効いている。具は、茹でた牛バラ肉のほか、ハチノス、ミノなどのホルモンものっていて、いろんな食感が楽しい。
お皿に麺と具がのった状態でスタンバイ。注文が入ると、ここに熱々のスープをかけて完成!
マレー半島の東海岸、クアラ・トレンガヌのマーケットで提供していたマレー系のビーフヌードル。

 マレー系のビーフヌードルは、スープの良しあしが味の決め手です。チキンスープを使うことが多く、やさしいだしのうまみが体の隅々に沁み渡ります。ちなみに、マレー系のお店では、メニューにビーフヌードルと記さず、「Mee Soup」(スープ麺)と書かれていることも。“わが店の特製スープ麺”という意味で、ビーフヌードルのこともあれば、チキンヌードルのこともあるので、ちょっとご注意を。

 いかがでしたか。ビーフヌードルは、屋台街ならどこでも提供しているというポピュラーな料理ではありません。伝統の味を代々継承し、地元の人に愛されている老舗でしか食べられない麺料理です。そのため、具もスープも全部お店で手作りという、こだわり店が多いのです。それだけに、お店を発見したら、ぜひ食べてみてください。あなたの人生のパワーチャージをしてくれる麺料理です。

牛骨だしのうまみがたっぷり味わえるマレーシアのスープ麺「ビーフヌードル」。麺の上には、フィレやホルモンなど、様々な部位の牛肉がのっていて、スタミナ食としても大人気です。今回は、クアラルンプールのチャイナタウンにある、創業60年の専門店「「SHIN KEE」をレポート。マレーシアごはんの会事務局のやかべっちが、食べた感想を含め、臨場感たっぷりにお伝えします!

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://www.malaysiafoodnet.com/

 

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2015.11.13(金)
文=古川 音
撮影=古川 音、三浦菜穂子