注文を受けてから丁寧につくるプレート
カフェで味わえるプレートをご紹介しましょう。
「季節のカスタードパイ」は、注文があってから、パイ生地にカスタードクリーム、コンフィチュール、フルーツをトッピングして仕上げられます。取材時は、大粒の生のブドウ、ピオーネのパイでした。できたてだから、パイのサクサク食感が際立ちます。生のブドウのみずみずしさとカシスのコンフィチュールのさわやかな酸味、優しい甘みのカスタードクリームのバランスが絶妙。口の中にローズマリーがほのかに香ります。キャラメリゼしたナッツの香ばしさと歯触りがアクセント。枯れ葉の形の薄いチュイールをアイスクリームにのせて、秋のイメージに。
「ベイクドレアチーズケーキと季節のタルトの盛り合わせ」は、2種類のケーキが楽しめる一皿。ひとつは、ベイクドとレア、2つのタイプを一度に味わえるチーズケーキ。チーズケーキ好きにはたまらない一品です。もうひとつ、取材時のタルトは、甘酸っぱいリンゴとサツマイモをたっぷり焼き込んだものでした。サックリしたタルト生地とジューシィな焼いたリンゴが口の中でひとつになって、幸せな気分に。フランボワーズのシャーベットのさわやかな酸味で、ボリュームがあっても、ペロリと食べられます。
「季節のプレート」は2種類。
1皿目は、イチジクを使ったプレート。軽くコンポートしたイチジクは、口の中でとろけます。なめらかな舌触りのココナッツのブランマンジェに、イチジクのコンポートのジュレが合わさると、ほんのりとアニスの香り。飴細工をパリパリと割って合わせながら味わいます。見た目の透明感が美しく、まさにレストランのデザート。なんとも贅沢な一品です。
2皿目は、見た目もエレガントなモンブラン。ベースはほうじ茶のメレンゲで、中のクリームにもほうじ茶が入っています。マロンクリームには和栗も入っていて、栗の味わいも多彩。お皿の上には、ほうじ茶の香ばしさで栗を楽しむモンブラン、洋梨の赤ワインコンポート、イチジクのソルベ。その組み合わせがとても新鮮です。
「ショコラのクレープ」は、焼き立てのクレープに、ほろ苦いショコラのガナッシュが包まれています。スパイスが香るアイスクリームと一緒に味わえば、キャラメリゼしたアーモンドのコリコリした食感が楽しい。ベリーのソースの酸味で味わいが引き締まります。
「ケーキ屋さんでは保存のために甘さが必要になりますが、ここで、できたてをすぐに食べてもらうお菓子は、甘さをおさえられます。1皿を食べ終わって、もう1皿食べられそうな甘さでしょう?」と寄砂さん。
1皿の中には、優しい甘さと酸味や苦み、様々な食感と多彩な風味。さらにほんのりスパイスが香り立ち、その複雑さがとても楽しい。「手作りで、1皿に自分の世界を表現したいんです」。
メニューの内容は、1カ月毎に1、2品ずつ変わります。「旬のもの、できるだけ関西の食材を使うようにしています」と寄砂さん。
これからは「栗のスープ」や柿を使ったタルトタタンのようなお菓子、柚子とチョコの組み合わせなど、色々考えているのだそう。「国産のレモンのパイにはハーブを合わせたいな。野菜を使ったデザートプレートも作りたいですね」。
2015.10.25(日)
文・撮影=そおだよおこ