休日にのんびり、おやつを買いに行くのにぴったりの街が神戸の六甲辺りです。阪急・六甲駅かJR六甲道駅で降りてメインストリートから路地に入ったら、車が少ない道をぶらぶら歩く。小さくて可愛いお店でお菓子を買って、お茶をする。なんだか、とっても幸せな気分になれるんです。

優しい雰囲気が伝わってきます。

 そんな六甲で、「焼き菓子がおいしい」と評判なのが「Atelier Rosette(アトリエ ロゼット)」。松浦真弓さんが2013年に始めた、焼き菓子とジャムのお店です。

ほっとくつろげる空間です。
インテリアやディスプレイにもこだわりが。

 「六甲は、最初に一人暮らしをした街。山が見えて、小さなお店が点在する街並みが大好きなんです」。憧れの街で小さなお店をオープンしたのです。

 松浦さんは、友人のお母さんが作る手作りのお菓子に感動し、お菓子作りを始めました。「小学1年生の時に、学校へ自分が焼いたクッキーを持参したら、先生が特別におやつの時間にしてくれたんです。クラスの皆が喜んで食べてくれたのがうれしくて」。高校時代も、お菓子を作っては、友人達と一緒に食べていたのだそう。「自分が作るお菓子を食べて、喜んでもらえるのが、とってもうれしいんです」。

 松浦さんが製菓の専門学校を卒業して働いたのが、六甲にあったパイとタルトの専門店「あなべる」。実は、ここ、私が大好きだったお店で、小さなお店には、外国人の知人から教わったというエレンズブラウニーやピーカンナッツのタルト、レモンパイやチーズケーキなどが並んでいました。どれも絶品でしたが、残念ながら2011年に閉店。

 「華やかなデコレーションのケーキに憧れていたんですが、あなべるで働いて、お菓子の見方が変わりました。特別な日のものではなく、毎日でも、朝食にも食べられるもの。日にちが経っておいしくなるお菓子があることを知りました」。焼き菓子が力強いものだと気づいたと松浦さん。

「バナーヌ・エ・ココ」 450円。

 あなべるで4年働いた後、カフェも展開する人気のお店で働きます。お菓子作りの幅が広がり、接客や飲み物、インテリアにも興味を持つようになりました。その後、結婚して出産。子育てをするうち、素材に関心が深まります。

通りが見える窓辺のソファ席。

「子供に添加物の少ないものを食べさせたい。でも、ストイックになりすぎてもいけない。自分のお店では、普段に家族で楽しく食べられる安全なお菓子を出したいと思うようになりました」。

 そして、大好きな六甲の街で、「アトリエ」と名付けた自店をオープン。「熱いお茶と焼き菓子の組み合わせを楽しんでいただきたくて」と、雰囲気たっぷりのソファ席もあるカフェを併設しています。ナチュラルなインテリアに、お店に入るだけで癒されます。

2015.09.13(日)
文・撮影=そおだよおこ