八尾市は大阪平野の中心に位置し、西は大阪市、東は奈良県に隣接。有名な河内音頭の本場で、夏には、各所に作られた櫓を囲んで、踊りの輪が幾重にも広がるのだそうです。
そんな街で「マレーシアの有名店と同じココナッツタルトが食べられる」とエスニック好きの間で噂になっているのが、『茶米古道』。2009年にオープンしたお店は、近鉄八尾駅の隣、河内山本駅からすぐにありました。
「茶、米、油、塩、醤、酢、糖は、アジアの基本調味料といわれます。かつて中国とチベットをつないだ“交易路”という意味の茶馬古道(別名ティーロード)をもじって、茶米古道という店名にしました。味の基本を大切にして、アジアの味をつなげる役目を目指しています。アジア、特に東南アジアの珍しいスイーツを、日本で発信したい」と竹本清香さん。
竹本さんは、大学卒業後に働いていた銀行を辞めて、シンガポールへ。現地採用で日本企業にて働き、マレーシア人のご主人と出会ったのだそう。結婚してタイでも働き、子供も生まれます。
右:店内の棚には、マレーシアの美しい茶器がさりげなく飾られて。
「元々、私も主人も食いしん坊。あちこち、たくさん食べ歩きました(笑)。アジア各地で暮らすうち、私は日本にない味を広めたいと思い、主人は独自のブランドを立ち上げたいと考えるようになりました」。ココナッツ、パンダン・リーフ、パーム・シュガーなどなど、シンガポールやマレーシア、タイでよく使われる素材。竹本さん夫妻は、そんなアジア独特の自然素材を使った、ユニークで懐かしい味のスイーツのお店を始めたのでした。
竹本さんが日本に紹介したいと思ったココナッツのお菓子が、マレーシア・ペナン島にある創業100年のお菓子屋『梁池記老餅家(リョンチーキーベーカリー)』のココナッツタルトでした。家族経営のお店で、修業を断られても、竹本さんは、熱心に通い続けて弟子入り。日本に帰国後、作ったココナッツタルトを持参して、『梁池記老餅家』のご主人に「おいしい!」とOKをもらったのだそう。
2015.03.08(日)
文・撮影=そおだよおこ