神戸市灘区、JR六甲道駅と阪急六甲駅周辺には、スイーツのお店が点在しています。今までにも、ワッフルやガレットの専門店、パフェがおいしい小さなお店など、ご紹介してきました。
そんなエリアに、2014年9月にオープンしたのが「エミル ツッカーベッカー」。JRと阪急の駅の間、南北の緩やかな坂道にあるガラス張りのお店です。ショーケースの後ろにある小窓越しに、パティシエがお菓子を作る様子が見えています。
「ツッカーベッカーのツッカーとはドイツ語で砂糖、ベッカーはパン職人のこと。パンやお菓子の職人を、ドイツのお年寄り達は『コンディトライ』ではなく、こう呼びます。今ではあまり使われなくなった古い言葉です」とオーナーパティシエの奥村豊さん。ドイツ人の妻の父親の名前「エミル」を店名にしたのだそう。
奥村さんは、1965年、神戸市生まれ。南京町にあったフランス料理とお菓子の店でケーキを作っているのを見て、お菓子作りに興味を持ち、18歳で老舗のドイツパンとお菓子の店「フロインドリーブ」に就職。パン、ケーキ、ビスケット、チョコレートと、次々に技術を身に付けました。ドイツで3年間の修業も経験。
「素材の大切さも学びました。アーモンドを粉にするところからやっていましたからね」と奥村さん。阪神・淡路大震災に遭って工場まで1時間かけて通うなど、たいへんな時もあったと言います。
25年勤めて辞めてからは、フランス菓子やイタリア菓子のお店でも経験を積み、「ドイツ菓子をベースにしたヨーロッパのお菓子の店」を地元で開業しました。
2015.08.09(日)
文・撮影=そおだよおこ