ドイツがルーツのお菓子に注目

 お店に入って、一番に目につくのが「エッケタルト」。レジ横の常温のケースに5、6種類並んでいます。エッケとはドイツ語で角のこと。サックリした歯触りの良いタルト生地に、フルーツやナッツなどをトッピングしたお菓子は、一見シンプルですが、どれも魅力的です。

「エッケタルト」左から、リンゴ、パインマンゴー 各320円。

 リンゴとクルミがのった「リンゴ」やキャラメリゼしたバナナたっぷりの「バナーヌ」、「ピスタチオとチェリー」などが定番。季節のフレッシュな果物をトッピングした「パインマンゴー」や「甘夏」なども次々に登場します。

 しっかり焼き込まれた生地のサクサクした歯触り、香ばしさで、どれもおいしい。コーヒーにも、紅茶にも合うお菓子です。

「ナポレオン」 330円。

 「ナポレオン」は、「フロインドリーブ」で作っていた、奥村さんの原点といえるお菓子だそう。「フロインドリーブ」では、上下はパイ生地で間にクリームをたっぷりはさんだスタイルでしたが、現在では作られていません。「ベッカライ(パン屋)らしいお菓子。多い時には、ひとりで500個以上作っていた」とにっこり。自店ではアレンジして、パイ生地を3枚にし、クリームも2層に。より、軽やかさが楽しめるよう工夫しています。パイ生地は強力粉で、塩味もしっかり。ヴァニラビーンズを使った濃厚な味わいのクリームとマッチして、クリームパイ本来のおいしさを堪能できる一品です。

「パリッとシュー」 200円。

 「パリッとシュー」は、その名前のとおり、パリッとした皮の食感が独特。小麦粉と油分をロール状にしたものを生地の上にのせ、1時間半かけてパリパリに焼き上げています。濃厚な風味のクリームを軽やかに楽しめるシュークリーム。他にない食感です。

 「日本人が大好きなシュークリームやプリンも大切に作っていきたい。体に優しい素材のお菓子は、皆がおいしく感じるはずですから」と奥村さん。「日本の季節の食材も大切にしたい」と、カボチャやサツマイモのお菓子も考案中。春には「桜のロールケーキ」なども作りました。

2015.08.09(日)
文・撮影=そおだよおこ