鉄板の上に広がるプロの技は続く

 ふたつめのもんじゃはそば。ベビースタートッピングという選択を捨てての、そば! 序盤はキャベツと麺を炒め合わせていくので焼きそばができそうに見せかけているが、麺を容赦なくコテで寸断していくのがもんじゃの世界。寸断そばとキャベツなどの具で土手を作り、生地を流し込んで作っていく。

 2回目は違うお姉さんが焼いてくれたのだが、1回目の方よりもさらに薄く、広く、美しく生地が広がり「召し上がれ~」。あっぱれ! 生地の中にもちもちとそばが入っているのがベビースターとは全く違う楽しさであった。

そばもんじゃにはコーンをトッピングしてみた。「ソバもんじゃ」800円(税込)。

 あまりの華麗な技にじわじわとお好み焼きも食べてみたくなってしまい、カメラマンさんおすすめの「あさり天」を追加で注文。ねぎが通常より多いという「あさり天」は、全体がグリーンがかっているほどだ。お姉さんにまたも鮮やかに焼き上げてもらい、さあソースをかけていただこうとすると、これは「酢+ラー油+醤油」がいいのだという。まるで餃子のたれである。濃厚ソース味にまみれた直後の私にはおあつらえ向き。

 食べてみて判明! 実はこれ、お好み焼きというよりもチヂミなのだ。道理でねぎが多いはずである。旬のあさりはどデカく、旨みたっぷり。薄め&さっぱりとしたたれなので、あとから来た前菜のようにペロリ。これを最初のひと品にすればよかったと我がもんじゃコールを少し反省するも、パリッと焼かれたあさりチヂミにはうっとりであった。

完全にチヂミ寄りの「あさり天」。

 最後に、カメラマンさんがどうしても食べてみて、というあんこ巻きを。他店にもあるメニューではあるけれど、ここの焼きっぷりを拝見したくて満腹ながら注文してしまった。厚めのクレープのような生地なので、パリッと焼けた部分としっとり部分が生まれ、見るからにおいしそうな生地。そこにあんこを入れてくるくると巻く。むっちりとした生地にくるまれた、甘すぎないあんこ、そして鉄板焼きならではの表面の油分でまたもや快楽的な味のできあがり!

「あんこ巻き」は生地がしっかりしていて、あんこも美味。

 アイスクリームを一緒に焼くのが本来の作り方なのだが、「溶けたアイスクリームをどうしても食べたくない」という私のわがままで、別添に。しっかりしたバニラアイスと合わせ、楽しませていただきました。

 気づけば店内は満席でウェイティングが出るほど。お酒が残っていたので飲みながらちょっとおしゃべりをしていたら、店員さんが近づいてきたので、「出ます! すぐ出ます!」と大慌て。「いえいえ、ごゆっくりしていただきたいのですが、鉄板を待っている方がいるのであちらでごゆっくり」と、鉄板のない席へ案内される。そこで残りのお酒を飲み、私はあたたかいお茶をすすり。なかなかいいシステムだなぁと思った。

 もんじゃ焼きのおいしさにすっかり目覚めた私。次回は「カレーにチーズトッピング」を絶対やろうぜ! と誓い合ったので、また同じスタジオで撮影をしたいなぁと思う今日このごろである。

つちや
東京都新宿区西新宿5-5-6
電話番号 03-3373-8206
[2015年6月来訪]

北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、料理本の編纂を行う。好きなのは炭水化物(特にごはん)とお肉の組み合わせ。お酒はあまり飲めない。「左手にごはん茶碗を!」

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2015.06.24(水)
文・撮影=北條芽以