LOVE:もんじゃ焼き
おいしいもんじゃを美しく焼いてくれるお店
西新宿五丁目|つちや
ソース焼きそば、お好み焼きとソース味の店取材が続き、私の食いしん坊脳がどうなったかというと、突然「もんじゃ焼き」が食べたくなった。さほど好きな食べ物でもないし、過去に積極的なもんじゃ欲が芽生えた記憶もない。ソース焼きそばとお好み焼きを連日食べた結果、もんじゃ欲が顔を出したようだ。
スタジオ撮影が続き、行き場のないもんじゃ欲を抱えつつ働いていると、スタジオから見えた「もんじゃ」の看板! カメラマンさんに「あそこに行ってみようかな~」というと、ハイタイムには満席必至、予約がベターという人気店だというではないか。ますます行ってみたくなり、やや満腹にもかかわらず、撮影が早く終わった日にスタッフで突撃することになった(強引に勧誘)。
メニューにはお好み焼きもあったのだが、同行者たちはとても親切で、「どうぞ北條さんのもんじゃ欲を満たしてください」という。ありがたい~。なにしろお好み焼きは食傷気味だったもので……。しかも、店はもんじゃ推しっぽいし。
メニューを眺めながら「明太子入りが食べたいけど、餅を入れたいな~」とポツリ。すると、同行者たちの相槌もないうちに厨房からぬっと顔が出て「餅、入れますよ!!」。「そばもんじゃっていうのは、どういうのかね……」。(ぬっ)「細かくした焼きそばの麺が入ってますよ!!」。
とにかく、もんじゃ絡みのトークにはすべて即答が返ってくるというもんじゃホスピタリティ。よく、サービスが行き届いたフレンチで「盗聴器ついてんじゃないの~?」と思うくらい素早い反応があるけれど、そのレベルである。
素直に明太子もんじゃに餅トッピングと、そばもんじゃを注文。カメラマンさんが「焼いてもらったほうがいいよー」というのでお店の人に焼いてもらうことにした。その手さばきの鮮やかなこと!「もんじゃを焼くのは割と得意です」と自負していた編集さんも「手を出さないでよかった……」と押し黙るほどである。土手を作って決壊がないのは当然。全体をミックスしたあとに薄くのばす様子に秩序があり、美しい! まるで旅館の布団である。どうせ混ざっちゃうソースも均等に薄くかけるのがプロの技。
まずは餅入り明太子。久しぶりに小ベラでちみちみと味わうもんじゃ焼きはひどくおいしく、ソース味は控えめで、しかししっかりと駄菓子チックな快楽的な味でもあり。餅もとろけて、優しく広がっている。明太子と餅のハーモニーは大正解だ!
2015.06.24(水)
文・撮影=北條芽以