【WOMAN】
告白をしたらきっと彼と彼女の関係が終わる……
始まりは中学3年の頃。周囲に合わせて作り笑いばかりしていた岬(みさき)は、クラスイチの変わり者の男子・楡(にれ)といると「思ったことすべてが口に出る」「おもしろい 楽ちん」と衝撃を受ける。性別を超えた友達になり同じ高校に進学した2人は、楡の父親が買い与えた一軒家で共同生活を開始。完璧だった避難所暮らしに、2人によく似た寂しさを抱える少女・日帆(かずほ)が合流してから、物語は大きく動き出す。
ぐるぐるもやもやと内面モノローグを重ねる少女が、恋する気持ちを声に出して告白する。その瞬間のときめきをキラキラに表現するのが少女漫画の王道だとすれば、本作は真逆だ。ヒロインの岬は楡に、恋している。でも……「友達なら多分一生いっしょにいられる わたしはいつも幸せでいられる」。だから思わずキスしてしまっても、「好き」の言葉は飲み込んでしまう。告白不可能なシチュエーションに、問答無用の切なさが輝く!
『太陽が見ている(かもしれないから)』(既刊1~2巻) いくえみ綾
築50年のフラットハウスを軸に描かれる三角関係+α。親友でもある日帆は言う、楡は名前を呼ぶだけで心安らぐ「おまじないみたいな存在」。では岬にとって楡の存在は?「喜び!」。3人の関係は告白したら壊れてしまう……そう思う気持ちの強さはきっと、3人とも同じ。
集英社 各419円
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Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2015.07.06(月)
文=吉田大助