今月のテーマ「見た目は○○、中身は……。」
【MAN】
体はシワシワでガリガリ、その内部は人類最強機械
『GANTZ』の奥浩哉が最新作の主人公に選んだのは、定年間近のサラリーマン。2人の子どもはまだ学校に通っているし、一軒家も建てたばかりで頑張りどき。しかし、医師からガンで3カ月の命と診断されてしまう。きっと自分は誰からも必要とされていない。「みんな泣いてくれるのかな」と思い泣きじゃくっていると……謎の光と爆風に巻き込まれる。心は変わらず見た目も変わらないものの、中身は機械。飛翔機能や殺傷能力の高いウエポンを内包する、サイボーグに改造されていた。
自分は感情のない機械ではなく、人間なんだと実感するためにはどうすればいいか? 弱い人を助ける、という行いを積み重ねていけばいい。最新3巻では、シワシワのおじいちゃんがヤクザの組に乗り込んで、ホバリング状態でパカッと開いた背中からミサイルを乱射。見たことのない絵で見たことのないバトルを実現させる。これぞ奥浩哉マジックだ。
『いぬやしき』(既刊3巻) 奥 浩哉
しがないサラリーマンの犬屋敷壱郎は、58歳。正義感はあるものの、気は弱いし、体も弱い。サイボーグになった彼は人助けに奔走するが、ある事件現場で出会ったのはもう一人の機械人間だった。その少年は、人殺しに快感を覚えていた。最強の機械の敵は、最強の機械――。
講談社 各590円
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2015.05.05(火)
文=吉田大助