「華の舞人」と一緒にプリンを……

文花画 『伝供』

 私はSNSでよく舞楽について熱く語っているので、いつの間にか天王寺楽所に友人がたくさん出来ました。そして「華の舞人」とお呼びする方は、やはり先生と呼ばれるお立場の人であるということがわかりました。

 ある日、友人からその先生が一般向けに雅楽の笛である龍笛(りゅうてき)の教室をされるから見学においでなさいと誘われたのです。

「えー、そんなん困ります~!! 私はよそで龍笛習(なろ)てるしよう行きません~!!」

 と、言いつつちゃっかり見学に行ってまいりました(笑)。

 「華の舞人」のお名前は小野真(おの まこと)先生。先祖をたどれば小野妹子の名もあがるそうで、それが今も四天王寺にかかわっておられるとは、1400年の歴史も身近に感じざるをえません。

 そんな雲の上の、いえ、舞台の上の人が洋服姿でゆったりと目の前に座っておられるのはとても不思議な感覚でした。

 お稽古アフターのお茶会ではご一緒にプリンを頂戴しました。長く曳いた裾を翻し、眩しい程勇壮に舞っておられたその人が、プリンを……!! あまりのギャップに大喜び。平成の天王寺楽人と食べたプリンの味は一生忘れないと思います。

 さて、きっかけがなくて名刺をお渡しするのが帰り際になってしまいました。私の名前をご覧になった小野先生は笑いながら

「あなたが中田文花さんでしたか。いつもネットで拝見してますよ」

「…………はぁ!?」

 茫然と立ち尽くす私。小野先生は後ろ手を振って帰って行かれたのでした。

楽人の友人(作曲家  高木了慧さん)と。

 ああ、今年もまたこの季節がまためぐってきました。四天王寺聖霊会大舞楽法要、どなたさまでも無料でご鑑賞いただけます。あなたにとっての「華の舞人」を探しにでかけてみませんか?

四天王寺聖霊会大舞楽法要
日時 2015年4月22日(水) 午後0時半~道行
今年舞われる舞楽 *振鉾、*蘇利古、春庭花、*菩薩、*獅子、*迦陵頻、*胡蝶、仁和楽、*太平楽、納曽利(*は毎年舞われる曲)

四天王寺
所在地 大阪市天王寺区四天王寺1-11-18
電話番号 06-6771-0066
URL http://www.shitennoji.or.jp/

中田文花(なかたもんか)
日本画家。描く事で仏教や日本の伝統文化を伝える。院展、万葉日本画大賞展など多くの公募展に入選。平成23年東大寺にて得度、在家尼僧となる。薬師寺機関紙挿絵、知恩院機関紙表紙絵を連載中。趣味:短歌、舞楽、龍笛、茶道。
ホームページ「文鳥寺画房」 http://bunchoji.com/
Twitter https://twitter.com/nakatabuncho

 

Column

尼さん日本画家 中田文花と遊ぶ古都風物詩

大人になったら東大寺でお土産を売る人になりたかった――お寺好きがこうじて尼僧になった関西在住の日本画家・中田文花さんが、関西の伝統文化と美の世界を分りやすく案内します。

2015.04.18(土)
文・撮影=中田文花