京都 山科 毘沙門堂の「敷きもみじ」
京都の紅葉の名所は数ありますが、私のおススメは何と言っても毘沙門堂です。
師走に近い晩秋になりますと、勅使坂を「敷きもみじ」が真っ赤に染め上げます。ことに夜半に雨が降った次の日の早朝はその色の鮮やかさが増します。
そのみ寺は京都市内の東に位置する山科区にあります。JR京都駅から一駅の山科駅からゆるやかな坂をのぼること20分。琵琶湖の疎水を越え、閑静な住宅街の突き当たりに、突然凛とした神聖な空気に変わる瞬間があります。そこが毘沙門堂です。
かくれ古寺と呼ぶべき静かな佇まいの毘沙門堂ですが、JR東海「そうだ 京都、いこう」のCMに2000年春と2011年秋に起用され大ブレイク、春と秋は多くの観光客が押し寄せるお寺になり、すっかりかくれ古寺ではなくなりました。このCMは関西では流れませんのでかえって関東での知名度の方が高いかもしれません。
天台宗の中でも大変格式の高いお寺で、青蓮院、三千院、妙法院、曼朱院、そしてここ毘沙門堂を天台宗五箇室門跡といいます(門跡は皇族、貴族が住職を務める寺院のこと)。
その名が示すように本尊は毘沙門天(秘仏)で、創建は奈良時代にさかのぼります。
2015.10.31(土)
文・撮影=中田文花