こんな風景は見たことない! ウユニ版「月の沙漠」へ

虹が湖面に映り、すぐに消えていった。一瞬の出来事だった。

 再び水が溜まっている場所へと向かった。日が傾き始めていた。そして、山の手前に水が見えてきた頃、雨が降り始めた。虹だ! 高砂さんは虹の写真集を何冊も出しているほど虹にこだわりを持つ方。今回のウユニ撮影では、まだ虹の写真が撮れていないという。2台の四輪駆動車は携帯で連絡を取りながらベストアングルを探していく。が、アングルを決めて車から降りたとき、虹は薄くなっていた、涙。自然相手の撮影だからいたしかたない。

 そうこうしているうちにサンセットが近づいていた。コーディネーターのトシさんが水際に車を停めた。すると、またたくまに車の下まで水がやってきてどんどん水が増えてきた。水深が深い場所から風が吹いて水が流れてきたのだという。潮が満ちていくかのように静かに乾いた湖面に水が押し寄せていた。

夕焼けに染まった空の上で撮影する高砂さん。この写真をほしいと言ってくださった!

 ふと見ると、高砂さんがオレンジに染まった雲の上で撮影していた。その姿があまりにも決まっていたので後ろからパチリ。モニターをお見せすると「いいですねー。その写真くれる?」と、最高の褒め言葉をくださった!

 夕日が沈むと場所を移動。今度は前日に見つけたという塩の結晶が美しい場所へ。新月が終わったばかりの三日月の月明かりを利用した写真を撮るという。水辺を離れ、GPSに記録されたシークレットスポットへと車はひた走る。

雲の形、光の当たり方で、同じ夕日でもまったく表情が変わる。

 車が停まったのは、直径50センチほどの塩の模様が続く乾いた場所。その縁が高く盛り上がって影ができていた。車のエンジンが止まると、あたりは静寂に包まれた。ほのかな月明かりでできた影が塩の模様を際立たせている。その幻想的な光景に、車から降りた参加者から、「わー!」と、歓声が上がった。

これが高砂さんが「月の沙漠」と名付けた場所。ほのかな月の影が幻想的な光景を演出していた。写真には、まるで満月のように輝いて写る。月が明るいことに驚かされた。

 各自、形のいい場所を選んで三脚を立てることに。すると高砂さん、「これ企業秘密だよ」と言いながら、とっておきの技も教えてくださった。その通りにカメラの設定を変えると、モニターに映し出された写真のなんとも素晴らしいこと! 参加者全員が満足のいく写真を撮ることができた。これもツアー参加者の特権というわけだ。

 この日、水辺からずいぶんと離れてしまったので、楽しみにしていた星空撮影は翌日に延期となった。

2015.03.10(火)
文・撮影=たかせ藍沙