【WOMAN】
「七つまでは神の子」は真実!? 幼い賢者はかく語りき
訳ありの小鳥とともに、関西の大おばさんの家に預けられた14歳のりく。関西弁も関西のノリも大嫌いなのに、家庭でも学校でも、コテコテの関西弁とボケとツッコミ満載のトークとの波状攻撃。〈私は絶対染まらない〉と意地になるが、ドメスティックな親しみのぬるま湯にどっぷり浸かるうち、頑なだった心はふやけてきて……。中でも、はとこの保育園児・時男の無邪気でインテリジェントな思考が、悲しくて泣くという回路がわからなくて泣きマネばかりしていたりくの心の干上がったダムを決壊させる。
小鳥がする口まねを、りくが時男に電話越しに伝える場面があるのだが、小鳥が発する通りに「オヤツ シヨカ」「セヤナ マトカ」と、りくが嫌いな関西弁で口にした途端、何が起きたかを見届けてほしい。大人をウソつき呼ばわりするりくに対し、時男が〈大人でもまちがえることあるの/ゆるしてあげるの〉と返した言葉を、りくはきっと忘れない。
『逢沢りく』(上下巻) ほしよりこ
アパレル会社社長で話のわかるパパ。センスがよくて完璧なママ。パパは浮気しているけれど、ママは娘の寂しさなんかより自分のキャリアをやり直すことに熱心だけれど、「自分がいちばん大切」という生き方は、平成の世ではそしられたりしない。たとえ娘のりくがどんなに孤独でも。
文藝春秋 各1,000円
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Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2015.02.05(木)
文=三浦天紗子