ジャニーズ事務所はなぜウェブ戦略に消極的なのか?
伊藤 えっと、いつものようにもう1曲、と思ったんですけど、なんか絞りきれなくて。
山口 毎回選ぶのも大変ですね。
伊藤 そうなんですよ。最近の最大の悩み。誰かが選んでくれたものに対して、あーだこーだ言うなら、空気を読みつつも、オレが選んだんじゃないしって言えるんですが。純粋に気になるリリースものを選んでいるので、言い訳できませんからね(笑)。10月前半はジャニーズのリリースラッシュなんですよ。1日にSexy Zone、8日にジャニーズWEST、15日は関ジャニ∞ですからね。ザクッとジャニーズファンって人には、かなり忙しくなりそうな2週間。ジャニーズもデビュー組のグループが増えたから、色々とファンも大変そうだなぁ~って勝手に思っています。
山口 ジャニーズ・エンターテイメントのたたき上げディレクターというキャリアの伊藤さんが、ジャニーズ作品について、いつ語るのか楽しみにしていますよ(笑)。
伊藤 う~ん、どうですかね。せっかく次のヒットを語るコラムをやってるんですから、いつかは取り上げたいんですけどね。変な誤解を生まないように、しっかりと良いJポップを紹介して、今の音楽業界を伝えて、ヒット予想もして、皆さんが楽しめるコラムにしていきたいですね。
山口 そうですね。ところで、ジャニーズ事務所が音楽配信をしないのは、ビジネスモデル戦略としてあり得る方針ですけれど、オンライン通販のCDショップにジャケット写真の使用を許さないっていうのは、何のメリットがあるのか意味不明で、明らかに時代錯誤な方針です。アー写とジャケ写はネットで拡散させましょうよ(笑)。
伊藤 確かに時代錯誤ではありますけど、あれを今の空気を読まないで実行するのもジャニーズにしかできない離れ業ですよ。それについて世の中が違和感を感じているってことが、ブランディングになっているんじゃないですか。
山口 なるほどね。「特別扱い感」は演出できていますよね。でも、現場レベルでは、エスタブリッシュできたグループはともかく、新しいグループをPRするのに、インターネットが一切使えないのは、しんどいって声が聞こえてきますよ。K-POPやEXILEや一部のビジュアル系に若い女性ファンを取られてしまうという危機感はあるようですよ。
伊藤 もちろんあるでしょうね。ひやひやしているファンも多いようですしね。それでもその姿勢を崩さないというのは、なにかあるんでしょう。実際、いろいろ言われながらも、相変わらずジャニーズは人気があり、ブランド力は唯一無二。その中でも、最近気になったのはジャニーズWEST。一番の新人ですけど、なんか面白そうですね。なんかジャニーズらしいジャニーズではないのですが、ジャニーズであることが凄く自然でもある。なんかやってくれそうって予感もします。個人的にはシブがき隊の「スシ食いねェ!」の現代版みたいなやつをやってほしいですね。
山口 そこもフードミュージックプロデューサーの出番ですね!(笑)
Column
来月、流行るJポップ チャート不毛時代のヒット曲羅針盤
音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!
2014.09.30(火)
文=山口哲一、伊藤涼