音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する！
さて、近々リリースされるラインナップから、彼らが太鼓判を押す楽曲は？
【次に流行る曲】
Yun*chi「Wonderful Wonder World*」
IQの高いサウンドと独特な世界をもったアーティスト
伊藤 今回はYun*chiなんですけど、浅田祐介さんがプロデュースをしているので、前から知っていました。IQの高いサウンドと独特な世界をもったアーティストという印象。CDジャケも毎回オシャレですよね。
山口 大好きですよ。浅田さんと飲み会とかやると、ちょくちょく顔を出してくれるので、本人と話す機会もあるのですが、キュートで素敵な女性です。音楽的な”勘”がとても良い人ですね。
伊藤 “勘”というのは？
山口 新しい音楽やアーティストへのアンテナが敏感で、自分の作品に取り入れるのが上手だなと思います。理屈とか流行ではなく、肌感覚でやっている印象が、いいなと思います。
伊藤 マドンナと一緒ですね(笑)。これからのアーティストは、そういうクリエイティブな面でもインディペンデントであることは大切ですね。きっと浅田さんとも同じクリエイターとして、気が合うんじゃないですか。
山口 ニコニコ動画を出自にしながら幅広く活躍しているlivetuneことkzくんに、拙著『DAWで曲を作る時にプロが実際に行なっていること』で浅田さんと対談をしてもらった時、「浅田さんは、Yun*chi先生の紹介です」って言ってました(笑)。
伊藤 いいですね(笑)。ちょっと前まで、きゃりーぱみゅぱみゅの妹分みたいな言い方をされていましたが、個人的には全然違う印象をもっています。きゃりーはファッションパーソンだし社交的な感じがするけど、Yun*chiはミュージックパーソンでもっとクールなイメージですね。そもそもYun*chiのほうが大人っぽいし(笑)。
山口 本当に音楽が好きなんだなと思います。女性アーティストは音楽よりもナルシシズムが勝っている人も多いんですよ。彼女はファッションリーダーでもあるから、もちろん自己愛も強いと思うのですが、音楽愛も相当なものだなと。
伊藤 ですよね。なんかその感じ分かります。彼女の声って、ひとことで言うとスマートヴォイスという感じ。イマっぽいし、心地良いし、甘すぎないスイーツですね(笑)。
山口 さすが詩的ですね。「甘すぎないスイーツ」っていうコピーは、ぴったりだと思うので、クラウンの担当A&Rに伝えておきます(笑)。
伊藤 次のシングルのチャッチコピーに採用してくれるかな！(笑)
2014.10.15(水)
文＝山口哲一、伊藤涼
