【次に流行るもう一曲】
中島みゆき「麦の唄」

NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」の主題歌

伊藤 次週には中島みゆき「麦の唄」がリリースされます。NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」の主題歌なんですけど、なんで麦なのかな? って気になってたんですよね。だって麦が主役の唄って他にないでしょ? どうやらドラマの内容がウイスキー作りの話らしくて、だから麦。納得! でもやっぱ麦をテーマにするところが、流石って感じです。

山口 NHKの朝ドラで、ヒロインが外国人なのが初という話題にもなっていましたね。酒飲みの僕としては、ウイスキー作りというのも注目です。そこに中島みゆきというセンス。

伊藤 そう考えると、かなり尖った朝ドラですね。

山口 フォーク・ニューミュージックって、米国で言えばカントリーミュージックに当たるポジションを占めてきている気がしてます。言葉を大切にする姿勢とかね。新しさを求めるのも良いけれど、変わらないという魅力もありますね。日本にはほとんど伝わってきませんが、ビルボードチャートには、カントリーソングは必ず入っています。日本でもそうなれば良いのになと。

伊藤 EDM(Electronic Dance Music)とカントリーという新しい物との融合から、ヒット曲が生まれているんで、むしろ米国でカントリーミュージックはいま熱いですよね。
 あと、もうひとつ注目したいのはカップリングの「泣いてもいいんだよ」。これは、ももいろクローバーZに提供した曲のセルフカバー。このコラムでも紹介したんだけど、曲自体は王道のヒットソングだと思います。でも、ももクロのリリース時にはいまいち盛り上がらなかった。ももクロのファン層には引っかかりづらいタイプの曲だったかな。でも、このタイミングでもう一度火をつけて、より多くの層に聴いてほしいですね。年末あたり、音楽番組で中島みゆき×ももクロのコラボが観られるといいんだけど。

山口 ももクロ紹介の時にも書きましたけれど、J-POPの豊かな蓄積の証明ですよね。エルダー層を中心としつつも、全世代的に支持されるといいですね。カッコイイことだけでなく普遍的なこともポップスの魅力ですから。

中島みゆき「麦の唄」
ヤマハミュージックコミュニケーションズ 2014年10月29日発売
1,000円(税抜)
■1975年にデビューした中島みゆきにとって、本作は通算44枚目のシングルとなる。11月15日からは、ライフワークとなった舞台シリーズ6年ぶりの新作「夜会VOL.18~橋の下のアルカディア~」が赤坂ACTシアターにおいて全23公演上演される。
■「麦の唄」作詞・作曲/中島みゆき 編曲/瀬尾一三、小林信吾
■オフィシャルサイトURL https://www.miyuki.jp/

【動画サイト】
「麦の唄」
URL https://www.youtube.com/watch?v=cjJfJg1u_Vo

山口哲一 (やまぐち のりかず)
音楽プロデューサー、コンテンツビジネス・エバンジェリスト。(株)バグ・コーポレーション代表取締役、「デジタルコンテンツ白書」(経産省監修)編集委員。プロデュースのテーマに、ソーシャルメディア活用、グローバルな視点、異業種コラボレーションを掲げて、音楽とITに関する実践的な研究を行っている。著書に『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)、『ソーシャル時代に音楽を“売る”7つの戦略』『プロ直伝! 職業作曲家への道』(リットーミュージック)、『世界を変える80年代生まれの起業家 ~起業という選択~』(スペースシャワーネットワーク)がある。最新刊は『DAWで曲を作る時にプロが実際に行なっていること』(リットーミュージック刊)。詳細プロフィールはこちら
Twitter@yamabug https://twitter.com/yamabug
ブログ「いまだタイトル決めれず」 http://yamabug.blogspot.jp/
作曲家育成セミナー「山口ゼミ」 http://www.tcpl.jp/openschool/yamaguchi.html
WEDGE Infinity連載「ビジネスパーソンのためのエンタメ業界入門」 http://wedge.ismedia.jp/category/entertainment

伊藤涼 (いとう りょう)
音楽プロデューサー、ソングライター。ジャニーズ・エンタテイメントで『青春アミーゴ』などのミリオンセラーをプロデュース、後にフリーランスに。ソングライターとして、乃木坂46『走れ!Bicycle』、AKB48『ここにいたこと』などの作品がある。作詞アナリスト、フードミュージックプロデューサーとしても活躍。論理的で明晰な分析力に注目。
マゴノダイマデ・プロダクション http://www.mago-dai.com/
ブログ「伊藤涼の音楽」 http://ameblo.jp/magodai/
伊藤涼が主宰する作詞研究室リリック・ラボ 
http://www.mago-dai.com/?p=746

Column

来月、流行るJポップ チャート不毛時代のヒット曲羅針盤

音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!

2014.10.15(水)
文=山口哲一、伊藤涼