さすがコメダさん! 一生付いていきます
上京してからは、名古屋発祥の全国チェーン店・コメダ珈琲店のモーニングのお世話になっている。コンセント付きの一人席が充実していて、皆それぞれの勉強や仕事に励んでいるので自分も頑張っている人の仲間に入れてもらったようで嬉しくなる。ドリンク代のみで、山食パンに加えて定番ゆで卵・たまごペースト・おぐらあんのいずれかからひとつ選べる。いつもはたまごペーストを選びがちだが、先日は季節限定の瀬戸内レモンマーマレードが選べて、さすがコメダさん! 一生付いていきますと歓喜した。
とはいえ浮気心がうずく日もあり、先日は喫茶室ルノアールのモーニングに行ってきた。ルノアールとは関東地方に展開するコーヒー一杯800円以上する高貴な喫茶店だ。普段ならどんなに遠回りしてでも庶民のコーヒーチェーン店かコメダに向かうが、コーヒーにプラス80円でモーニングサービスが頼めると聞いたので思い切って入ってみることにした。
まず、入店してすぐに感動したのが絨毯だ。足がふかふかする感覚はいつぞや泊まったホテルのロビー以来だろうか? 足元の使い古したスニーカーも、いい思いができて喜んでいることだろうと靴孝行できた気分になる。
次にあら素敵と思ったのが椅子。お好きな席にどうぞと言ってもらえたので、何種類かある中で灰色のツイードっぽい生地の一人掛けソファを選んだ。座ってみると尻がオーダーメイドかのようにすっぽりとハマり、高過ぎない背もたれのホールド力、キャスターが付いているところも良い。リッチな座り心地なのに猫背にならない体勢がキープできるので、我が家の椅子がこれだったらいいのにと強く思った。
そうか、ここは喫茶「店」じゃなくて喫茶「室」なのだと納得してプラス80円に抱いていたわだかまりがスーッと消えていった。出てきたモーニングは切れ込みにバターが染みた厚切りトーストと、ゆで卵。コンソメスープ付き。ふ~んなかなかやるじゃんと思っていたら、食後の玄米茶で完全に懐柔された。クーラーの風でガンガンに冷やされた後のあったかいお茶はずるい。一度冷たくしてから優しくするのはよくある手口だが、分かっていてもまだ居ていいんだと思うだけでコロッと落ちてしまう。
たまげたのが「交換しますね」と持ってきてくれた二度目のお茶だ。えっ? エンドレス茶? いや、待てよ。むしろ京都のいけずな作法みたいな感じで、「そろそろ帰れ」のサインだった可能性も出てきたぞ。もっと居ていいのか? ダメなのか? どっちどっち? と心をかき乱された。軽くカップ三杯分はあるポット入り紅茶、コンソメスープ、お茶を二杯飲んで胃はタポタポである。
2025.09.23(火)
文=寺井奈緒美