「僕は『イエローモンキー』と言われて…」日本のインターナショナルスクールで受けた人種差別
――やってない上に先生からも怒られて。つらいですね。
細山 今になると、言えばいいじゃん、という感じなんですけど、僕の中では、その子たちがビーズを投げて濡れ衣を着せたって、二重に悪いじゃないですか。そしたら、その子が2倍怒られるなと思って。
一方で、僕がやったことにしたら、僕だけが怒られて済むからそれでいい、っていう発想だったんですよね。
――自分だけが背負えばいい、という感じだったんですね。
細山 自分に自信もなかったし、自分さえ我慢すれば丸く収まるんだ、みたいな思考だったんでしょうね。

――一方で、さまざまな国の子がいる“多様な”環境のインターナショナルスクールでもいじめがあったということにも驚きました。
細山 インターナショナルスクールであっても結局、教育の現場は閉鎖的ですし、いろんな国籍の子がいる=多様性でお互いを受容するかというと、必ずしもそうではなかったんだと思います。
むしろ、ちょっと不思議な現象としては、黒人の子も白人の子もいましたが、そこで僕は「イエローモンキー」と言われて。えっ、僕が人種差別を受けるんだ、と思ったことはありましたね。
「これ以上一緒にいるとまずいわ」クラスでイジメられ、孤立するように…
――日本ではマイノリティである外国の子から人種差別を受けたことに驚いたと。
細山 そういうことですね。もちろん、一歩学び舎の外に出れば、日本人が9割以上という環境なわけですけど、教室という狭い空間の中ではむしろ、海外から来ている子たちの方がマジョリティでしたし、そうなるとアジア人って、スクールカーストでは下のほうにいて、いじめに遭いやすかったんです。

――それは細山さんに限ったことでなく、インターナショナルスクールの中ではアジア人のおとなしい子がいじめの標的になりやすかったということ?
細山 そうですね。僕だけじゃなく、いじめられてる子は特にアジア系の子が多くて、その中でも転々とターゲットが変わってました。
最初、いじめられててかわいそうだと思って僕が手を差し伸べたりすると、今度は自分がターゲットになって。そうすると、アジア人の元々いじめられた子たちも、「あっ、貴嶺がターゲットになったからこれ以上一緒にいるとまずいわ」となって、孤立していくような感じで。
結局、そうして孤立していった結果、自殺未遂をしてしまったんです。
撮影=細田忠/文藝春秋
〈「殴られ蹴られ、首を絞められ…」「先生もいじめに加担した」小学校で“陰湿イジメ”を受けた元人気子役“細山くん”こと細山貴嶺(30)が語る、小学生時代のイジメ被害〉へ続く

2025.09.01(月)
文=小泉なつみ