CREA 2025春号「韓国のすべてが知りたくて。」では、「韓国カルチャーの最前線 7人の証言」として現地取材を敢行。ドラマ、映画、ウェブトゥーン、文学、K-POPと各ジャンルにおけるキーパーソンたちの独占インタビューを10ページにわたり特集しています。 「CREA」2025年春号より、今回は2024年、ハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞も大きく話題になった「韓国文学」をテーマに、お話を伺いました。
CREA 2025年春号
『韓国のすべてが知りたくて。』
定価980円
翻訳というカルチャー戦略

韓国文学翻訳院(以下、翻訳院)は1996年につくられた政府機関だ。今回は、翻訳院で翻訳出版チーム長を務めるパク・ジウォンさんにお話を伺った。
設立当初は韓国文学は世界的にはあまり目立たず、翻訳院側から海外の出版社にプレゼンし、出版してもらえるのなら支援するというアプローチだったそう。
「翻訳院で働いていると、『どうして海外にいながらこの作家や作品のことまで知っているんだろう』とこちらが驚くくらい、さまざまな問い合わせがあり、韓国文学への関心が世界的な広がりを見せていると実感します」
翻訳家育成で拡大を狙う
文学愛好者に20~30代の女性が多いのは世界的な傾向。韓国文学にはそうした層が好むフェミニズム的視点や癒し、成長などの主題が込められた作品が豊富だ。
「そうしたテーマゆえに、いまでは海外から自発的に需要が生まれており、翻訳院の役割も変わってきたと感じています。現在の役割は、直接作品を紹介するよりは、翻訳する国の翻訳家に翻訳支援金を支払うこと、海外の出版社に対して出版支援金を支払うことの主に二つです。
まずオンラインで申請をしてもらい、審査を経て選定します。2024年は、340件ほど申請があり、200件ほどを支援しました。そのほか、実力のある韓国文学の翻訳家を養成することを重要な役割と考え、日本語を含む主要7言語の翻訳家育成プログラムも行っています」
2025.03.17(月)
文=CREA編集部
CREA 2025年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。