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カカオの多彩な魅力を楽しむ小菓子

 作業に夢中になっている間に提供されるのが、「カカオの調理発見『ひとつまみ』」と名付けられた小菓子です。全8種のなかから、お好みで4種をチョイスできます。

 「水とカカオのエアリー」は、水とカカオを合わせてホイップしたクリームをふっくら、軽やかなブッセ生地でサンド。中に潜ませた甘酸っぱいフランボワーズのコンフィチュールが、アクセントを添えます。

 「シェードツリーとカカオの実」は、バナナやライチ、パッションフルーツ、ライム、カカオパルプ(カカオの果実)を使った、やわらかなマシュマロ。「カカオを栽培する際、太陽の光から守るシェードツリーとして、バナナやライチ、パッションフルーツが植えられていることから発想しました。フルーティな味わいを楽しんでいただけると思います」と、眞砂シェフ。

 「カカオニブの食感」は、焼き上げたクレープ生地を八朔とカカオパルプに漬け込み、カカオニブをサンド。とろっとしたカカオパルプのソースがかけられ、「いわゆる、カカオパルプのあんかけです」と笑う、眞砂シェフ。カカオニブの軽快な食感が引き立ちます。

 「カカオの泡」は、カカオパウダーときび砂糖を合わせて焼き上げたメレンゲ。ほろほろの食感が心地よく、口の中でスッと消えていくよう。

 「カカオのとろサク」は、バターの代わりにカカオバターを使用したクッキーシューに、カカオハスクで香りを付けたカスタードクリームをたっぷりと。サクッと軽快で、カカオの華やかな香りが広がります。

 そして、「ジブンのカカオ」は、カカオバター、カカオパウダー入りの生地に、コスタリカ産のチョコレートガナッシュが絞られたタルトです。この上に、さきほど自分でローストし、砕いたカカオ豆を好きなだけのせれば完成。カカオの風味と香ばしさ、軽やかな歯触りを存分に堪能できるひと品です。

 8種のなかで唯一、特別な機械で作られているのが、「機械にしか出来ないこと」と名付けられたチョコレート。レモンとユズのとろりとしたキャラメルが、極薄のコスタリカ産チョコレートに閉じ込められ、パリッ、トロッの繊細な食感のコントラストと、さわやかな風味が楽しめます。

2025.01.21(火)
文=瀬戸理恵子
写真=鈴木七絵