その瞬間にその場でしか味わえない、作りたてのおいしさを味わうというデザートの醍醐味。その魅力を存分に堪能できる、デザートコースを提供するお店が増えています。カウンターに腰かけ、シェフの言葉に耳を傾けながら目の前で仕上げられるひと皿、ひと皿に胸を高鳴らせ、香りや温度、音を感じ、味わいを楽しむひとときは、まさに至福の時間。とっておきのデザートコースを味わいに、いざ!
「料理人だからこそ」のデザートコース
フレンチレストラン出身の料理人・田村浩二さんが、レストランデザートのように濃厚でいて香り豊かで、儚い食感を追求して生み出したチーズケーキが人気を集める、「Mr. CHEESECAKE(ミスター・チーズケーキ)」。オンライン販売やポップアップ販売から人気が広がり、2025年4月には、GINZA SIXに旗艦店をオープン。店内には6席のイートインスペースも設けられ、話題を呼んでいます。
こちらでは通常、全4皿+ドリンク2杯から成る「定番のデザートコース」が提供されていますが、季節ごとに、田村さん自らカウンターに立ち、特別に考案されたデザートをふるまう、期間限定のデザートコース(全6皿+ドリンク3杯)の提供も。
2025年11月1日からは、和梨やカボチャ、和栗、イチジクなどを使い、秋の味覚の豊かな香りを楽しめる「秋のデザートコース」が土曜・日曜限定でスタート。この時期ならではの香りと味わいに満ちた全6皿+ドリンク3杯をご紹介します。
◆Fruits & Flavor フルーツと香り
コースのスタートは、杏のコンポートから。「フランス料理のコースで言えば、最初に提供されるアミューズのようなひと品です」と、田村さん。アンズは、夏に長野・千曲市から届けられた「信山丸」を使い、フレッシュなうちにレモンとトンカ豆を香らせたシロップに漬けて、秋まで大切に保管され、みずみずしくふっくら、とろりとしたコンポートに仕上げられています。
そのシロップにキンモクセイの花の香りを移したジュレをかければ、心地よい酸味とともに華やかさとさわやかさが混じり合い、後には丸みのあるトンカ豆の香りがふわり。田村さんが描き出す美しい調和の世界へ、一気に引き込まれていきます。
◆Vanilla Tonka Lemon おいしさの記憶
「実は、『Mr. CHEESECAKE』のシグネチャーフレーバーである『Mr. CHEESECAKE Classic』は、トンカ豆との衝撃的な出合いがあったからこそ生まれたひと品なんです」と、語り始めた田村さん。
それはまだ田村さんがレストランで働いていた頃、長野から届いたアンズとトンカ豆のコンフィチュールを食べて、その相性のよさとおいしさに驚かされたと言います。
「トンカ豆は、杏仁や桜餅のようなニュアンスがあり、日本人にとってちょっと懐かしさを感じさせる香り。バニラにも似ていて、他の素材と合わせると香りの一体感が生まれます。1品目のアンズに続いて、そうした僕の記憶を追体験していただけるのが、この2品目のデザートです」。
その言葉とともに提供されたのが、「Mr. CHEESECAKE Classic」に使われている材料を再構築して生まれたひと皿。クリームチーズとサワークリームを加えたトンカ豆のブランマンジェ、キャラメリゼしたクッキーを混ぜこんだカスタード風味のクリーム、バニラとヨーグルトのアイスクリームに、すがすがしいレモンとハーブのジュレがアクセント。
上からふりかけられたレモンの皮、ホワイトチョコレート、オリーブオイルがさわやかさと青み、ミルキーさをプラスして、繊細でフレッシュ感あふれるチーズケーキの味わいが口いっぱいに! それぞれのパーツの口溶けのスピードの違いによって、時間差で現れる香りのハーモニーに、心が躍ります。
