◆Fig Yunnan Black Tea 水菓子

 5品目は、田村シェフが「僕の人生において一番おいしかった、南仏・マントンの路地で樹からもいで食べたイチジクの味を再現しました」、と語るデザート。

 主役となるのは、福岡・久留米市産の黒イチジク「ヴィオレソリエス」です。記憶の中のイチジクの青い香りと酸味を表現するため、細かくたたいたヴィオレソリエスに、コブミカンの葉やライムの皮、メープルシロップを合わせてソースに。フレッシュなヴィオレソリエスの下には、雲南紅茶の香りをつけた、ココナッツクリーム&ヨーグルトのアイスクリームと、赤ワインとスパイスを加えたヴィオレソリエスのソースが隠れています。

 「食べ進めるにしたがって、オリエンタルなニュアンスを感じさせるフレッシュな青みから、赤ワインとスパイスが加わったヨーロッパ的な奥深い果実味へと移り変わっていき、旅をしているような気分も味わっていただけるかと思います」と、田村さん。イチジクが見せる表情の変化が楽しいひと皿です。

◆Fresh from the oven 温律

 コースの最後は、タイミングを見計らって焼きたてで提供される、アツアツのチーズケーキ! 今回は、秋ならではの味覚を合わせた和栗のバスクチーズケーキです。

 「焼きたての温かさは、レストランデザートならではの醍醐味。最後はとにかくシンプルに、何も考えずに焼きたてのおいしさを楽しんでいただきたくて」と、田村さん。

 黒糖ときび砂糖を使い、和栗のピュレを合わせたバスクチーズケーキはコク深く、中はとろとろ。チーズの奥から、おだやかな和栗の風味がふわーっと広がり、豊かな余韻を残します。

 「デザートでは、ひと口ごとに香りや味わいが変わっていく様を意識して、さまざまな要素を重ねていきます。どう加工するかによっても食材の香りは変わるので、それを鑑みながら複雑に絡み合わせていくのが料理人の仕事。『自分の料理は香りです』って、ずっと言い続けています」と、田村さん。

 聞き慣れない食材も含めてひとつのデザートに多様な要素を組み込みつつ、口に運べばすっとなじんで複雑さを感じさせない味わいに仕上げるのが、田村さんの目指すところ。

「僕のなかでは『これしかない』という答えを出しているので、突飛なことをしているつもりはありません。でも、味わう人によっては新鮮さや発見があるかもしれない。そこにおもしろさを感じてもらえたら、うれしく思います」。

シェフ 田村浩二さん

1979年東京都生まれ。新宿調理師専門学校卒業後、乃木坂「Restaurant FEU(レストラン フウ)」、六本木「Edition Koji Shimomura(エディション・コウジ シモムラ)」、表参道「L'AS(ラス)」を経て渡仏。マントンのレストラン「Mirazur(ミラズール)」、パリのレストラン「Restaurant ES(レストラン エス)」で修業し、2016年帰国。「TIRPSE(ティルプス)」のシェフを務め、2018年、「Mr. CHEESECAKE(ミスター・チーズケーキ)」を創業する。2025年4月には、旗艦店となるGINZA SIX店をオープン。

秋のデザートコース

内容:6皿+ドリンク3杯
料金:13,200円(サービス料込み)
開催日:2025年11月1日(土)、2日(日)、8日(土)、9日(日)、15日(土)、16日(日)
時間:①11時~ ②13時~(所要時間:約1時間30分)
席数:6席
予約受付開始日時:
1    2025年11月1日(土)~9日(日)予約分:10月18日(土)10:00~
2    2025年11月15日(土)・16日(日)予約分:11月1日(土)10:00~
予約URL:https://reserve.mr-cheesecake.com/pages/course-gsix

Mr. CHEESECAKE GINZA SIX店

所在地 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX B2
電話番号 03-6455-2515
営業時間 物販:10:30~20:30 カフェ:12:30~20:30(L.O.20:00) 土・日曜14:00~20:30(L.O.20:00)
定休日 施設に準ずる
https://mr-cheesecake.com/

Column

至福のデザートコース

その瞬間しか味わえない、作りたてのおいしさを味わうというデザートの醍醐味。その魅力を存分に堪能できる“デザートコース”を提供するお店が増えています。シェフの言葉に耳を傾けながら目の前で仕上げられるひと皿、ひと皿に胸を高鳴らせ、香りや温度、音を感じ、味わいを楽しむひとときは、まさに至福の時間。