フライドチキンとかけまして、クリスマスと解きます。その心は、どちらもアゲアゲでしょう! 町を彩るイルミネーションや、たいせつなひとへのギフト選びに心をときめかせながら「そろそろフライドチキンが恋しい季節」とひそかに肉肉もとい、わくわくしているご同胞のための短期連載、その名も「フライドチキン齧り隊」。

 肉を糧に生きる肉食系ライターの小寺慶子が、東京の寒い冬をアゲアゲ気分で過ごすことができる、フライドチキンが自慢のレストランをご紹介します!

 第一夜は、ギリギリクリスマスに駆け込み隊!


【第一夜】あの三ツ星シェフがレシピを監修! ホテル de フライドチキンの高揚感やいかに!?

 無類のフライドチキン好きであるが、初めてフライドチキンを食べたのはいつだったかまったく思い出せない。焼肉デビューの記憶はある。すき焼きやしゃぶしゃぶもあるし、焼鳥もある。なんならローストビーフも豚の丸焼きも(これが一番衝撃だった)“お食い初め”の記憶があるのに、フライドチキンはないのである。

 家族や友人にも初めてフライドチキンを食べた日のことを聞いてみたりするのだが、みな口を揃えて「そういえば、いつだろう」と言う。でも、たとえその初めての食体験が記憶にうずもれてしまっていたとしても、これだけはチキンと断言できる。

 私は、フライドチキンが大好きだ。

 高温の油で揚げられた衣のガリッとした香ばしさ、きらきらの脂をたたえたジューシィな肉に歯がめりこんだときの恍惚感、手指の汚れや口内やけどもいとわず食べ終えた後の達成感。

 原稿が行き詰ったとき、私はフードデリバリーで某チェーン店のフライドチキンを頼むことを一種のストレス解消法としているが、それは骨付きの肉にかぶりつくという行為でしか得られない快感を本能が欲するからだ。単に骨付きの肉ならラムチョップでもT-ボーンステーキでもいいのだけれど、油で揚げた衣つきの肉であるということが重要で、こんなに頭を使っているのだから多少のカロリー摂取も必要だと自分に言い聞かせながら、フライドチキンを頬張るのは至福のひとときである。

2024.12.21(土)
文=小寺慶子
写真=榎本麻美