ラグジュアリーなホテルでフライドチキン……?

 「丸の内のフォーシーズンズホテルがフライドチキンを出している」という噂を耳にしたのは、たしかコロナの真っ最中だった。以来、寝ても覚めても(というのは言い過ぎだが)そのことが頭から離れず、そうこうしているうちに時は流れ、先日やっと念願のフライドチキンとの対面の機会に恵まれた。

 雨が夜更けすぎに雪へと変わりそうなくらい冷え込む、12月の丸の内。「フォーシーズンズホテル丸の内 東京」といえば、先ごろ総料理長のダニエル・カルバート率いるフレンチレストラン「SEZANNE(セザン)」が、ミシュランガイド東京2025で三つ星を獲得して話題を集めたばかり。そして、同フロアのダイニング「MAISON MARUNOUCHI (メゾン マルノウチ)」で供される料理もダニエル氏が監修しており、なかでもフライドチキンは「MAISON MARUNOUCHI (メゾン マルノウチ)」のために作ったメニューだ。

 クリスマスのデコレーションが華やかなロビーを抜け、エレベーターで上階へ。サービススタッフに案内され、店内を奥へと進むと、眼前に東京駅の新幹線ホームをのぞむロマンティックな空間が現れる。

 席につき、まずはビールで乾いた喉をひと潤し。メニューを開くと、フライドチキンの文字が燦然と輝いて見える。

2024.12.21(土)
文=小寺慶子
写真=榎本麻美