絶品フライドチキンには“鳥絶”なこだわりが!
夕焼けに染まる東京の駅舎をうっトリ眺めていると、ほどなくして「マルノウチ フライドチキン コーンブレッド ランチドレッシング」が運ばれてきた。バスケットのようなかごに入ってくるのかと想像していたが、皿上に鎮座するフライドチキンの端正なこと。これぞホテルメイドの格というべきか。ナイフとフォークを使うか悩むところではあるが「フライドチキン齧り隊」的には、やはり素手でいただくことにしよう。
神々しささえ感じさせるフライドチキンをまえに、ドラム(脚)、とサイ(骨付き上腿)のどちらから食べるべきか少し悩む。私はビジュアルも含めてドラムが好きである。そして、好きなものは最初に食べる性分だ。
手づかみで持ち上げたフライドチキンはしっかりと量感があり、ふんわりと鼻孔をくすぐるスパイスの香りに食欲スイッチがオン。ひと思いに齧りつけば、とぅるんと肉片がはがれ、しばしの咀嚼のあとに旨みの余韻を口中に残して胃の中におさまる。当然、陶酔。
日本では岩手県産の鶏を使用し、12時間ヴィネガー主体のマリネ液に漬けたものをパプリカなどのスパイスを配合した衣を付けて揚げ、さらに辛味スパイスの入った鴨脂で外はパリッと、なかはジューシィな食感に仕上げる。その愛情の深さ、思い入れの強さが感じられる味を噛みしめながら「今日が私のフライドチキン記念日」と心のなかで呟く。ともすれば、ぱさっとしがちなサイも見事な脂の潤みをたたえており、「サイ高!」のひと言。
2024.12.21(土)
文=小寺慶子
写真=榎本麻美