![ネグロス島の美食の頂点がここに。©Kazuki Kei Kiyosawa](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/4/-/img_548c27be5da7b820266d28d936d50cb6144350.jpg)
フィリピンの経済は、このところずっと右肩上がり。美食を求める人が国内にも増え、才能ある料理人が育つ一方で、在来の食材や食文化を継承しようというムーブメントも広がりつつあります。名家の家庭料理から、話題のファーム・トゥ・テーブル、VIP気分で味わうプライベートダイニング、最先端のファインダイニングまで、一挙ご紹介!
![シライ市の「カーサ・A・ガンボア」でいただく上流家庭の料理。©Kazuki Kei Kiyosawa](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/9/-/img_49c186c635d97015e2b97066a0082a79178417.jpg)
伝統的な家庭料理を歴史ある邸宅で
欧風の街並みが美しいシライ市の「カーサ・A・ガンボア」は、1939年に建てられたアメリカンコロニアルスタイルの邸宅。完全予約制のプライベートダイニングで、上質の家庭料理を味わうことができます。
裕福な砂糖農園主によって建てられたこの邸宅は、その娘であり食の研究者、著名なフードライターでもある、故ドリーン ガンボア フェルナンデスが暮らした場所でもあります。
![風通しのよい室内はいまも快適に保たれている。©Kazuki Kei Kiyosawa](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/d/-/img_1d7d0f0f79557641a15735732eb57a10202915.jpg)
![美しくコーディネートされたテラスのダイニングテーブル。©Kazuki Kei Kiyosawa](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/b/-/img_7b8f64a06512582c7d52ef41c553e043230906.jpg)
「カーサ・A・ガンボア」は現在、ドリーンの義理の姉にあたるリン・ベサ・ガンボアさんから、その娘で著名なフーディーとしても知られるリーナ・ガンボアさんに受け継がれ、伝統的な家庭料理を提供するダイニング、ギャラリー、イベントスペースとして使われています。ダイニングでの料理内容や時間(朝食、昼食、夜で各1組限定)、予算は相談次第でアレンジ可能。
今回いただいたのは、ランチブッフェ。旨みたっぷりの地鶏のスープに、小イカにレモングラスを詰めた串焼き、ポークリブのグリルなど、いずれも親しみやすい家庭料理でありながら、ソフィスティケートされた逸品揃い。代々食べることが大好きなガンボア家の味が、この島の風土と食の豊かさを物語っています。
![地鶏のスープは、唐辛子の葉やバナナの若芽が入った滋味深いもの。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/2/-/img_92fb4df4443627cbdfb7c581f9c2eb3f198555.jpg)
![つるむらさきのような青菜をさっと茹でたものに、色とりどりの野菜や卵を盛ったサラダ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/3/-/img_0390cac6edb4a34cff8ba0576842b9ce207213.jpg)
![マリネして柔らかく焼き上げたポークリブと、イカの詰め物焼き。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/e/-/img_9e620e4b2ff25ef5f96b274cf78aab2d283039.jpg)
![マンゴー、パパイヤ、IBA(アメダマノキの実)などを使ったピクルス。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/4/-/img_147cfd154d0b575ed176f72a71ec4230278630.jpg)
故ドリーン・ガンボア・フェルナンデスは、著書『Tikim, Essays on Philippine Food and Culture(ティキム、フィリピンの食と文化に関するエッセイ)』に、「食べ、味わうことは、とても親密な冒険であり、人間の経験を深く掘り下げる」と書いています。
その言葉通りの体験が叶う「カーサ・A・ガンボア」での食事。ネグロス島の家庭に根付いた料理の奥深さを知りたいなら、ぜひ旅程に組み込んでみてください。
カーサ A ガンボア Casa A. Gamboa
話題のFarm to tableダイニングへ
![ネグロス島の自然に育まれた野菜はどれも味が濃くおいしい。©Kazuki Kei Kiyosawa](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/7/-/img_07fe3c6aa9d93d412ad62ab39edff58e183688.jpg)
バコロド市の「ラナイ バイ フレッシュスタート」は、同市内でオーガニックショップやカフェ、ジュースバーなどを手掛ける企業「フレッシュ スタート」の直営レストラン。オーナーのラモン ウイさん&フランシーヌさん夫妻は、フィリピンのオーガニック運動を牽引するリーダー的存在です。
![緑豊かなガーデンを備えたアジアンリゾート風の建物。©Kazuki Kei Kiyosawa](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/0/-/img_0068367fd24837e9010e808d40ee9a72184177.jpg)
![天然素材を駆使したインテリアは、ネグロス島の若手デザイナーや職人の手によるもの。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/d/-/img_cd2e96a0901a61b369152e03a8dea971406706.jpg)
![「ネグロス島をオーガニックアイランドに」と志す、オーナーのラモン ウィさん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/9/-/img_09308cffde854d92b2099485088bf6f4189989.jpg)
食材は、自家農園の有機野菜のほか、小規模生産者の農産物や、イタリアのスローフード協会によって「味の方舟(Ark of Tast)」に認定されたものも積極的に使用。
味の方舟に認定されるのは、固有の在来種や、伝統製法でつくられる加工食品、伝統漁法による魚介類やその発酵食品などで、ネグロス島にはそうした食材が(認定されていないものも含め)豊富にあるのです。
![自家製のピタにキャラメリゼしたカリフラワー、地元産カシューナッツのドレッシング。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/a/-/img_7a468a369619da9985693d23b8310daa158782.jpg)
この店で使われる肉や乳製品も、オーガニックまたはそれに近いもので、ケミカルな調味料は基本的に不使用。風土に根ざし、人を癒す食の原点がここにあります。
メニューは比較的カジュアルで、旅行中に不足しがちな野菜をたっぷりと食べられるのが魅力。フレッシュスタート社は、マニラなどで活躍する著名なシェフたちにも食材を提供しているため、名だたるシェフが料理やカクテルのレシピを提供しているそう。
![ネグロス島での水牛のミルクでつくられるブッラータをのせたサラダ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/4/-/img_74ca48e56c5f0bd1ee9d5c25191d7da6193433.jpg)
![オーガニックパイナップル、バタフライピー、ミントなどを使ったアイスティー。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/1/-/img_a1d0514245f7e0b0e49e4fe9f031638c280235.jpg)
![「味の方舟」に認定されている地魚タニギー、麦のリゾット、パパイヤのピクルス。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/0/-/img_c01485c80213a14e2c9972f2a429999d119438.jpg)
![ローカル黒豚のグリルは、マスコバド糖とグアバのソースで。©Kazuki Kei Kiyosawa](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/e/-/img_7ed98ac32773a43eab7e03a2d7c99e5798435.jpg)
![デザート代わりに、ネグロス島のカカオを使ったホットチョコレートを。シライ市でつくられるミネラル豊富なTULTUL塩をトッピングすると味に深みが増す。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/3/-/img_33a9a404a647112a901cce386fad0659191044.jpg)
「ラナイ」がオープンしたのは、パンデミックの渦中だった2021年12月のこと。ネグロス島でも多くの店が一時閉店や営業形態の変更を余儀なくされましたが、一方で健康志向やオーガニック食品への関心は高まりました。
安心して食事を楽しめる場所として、地域社会や観光客に新たな食の選択肢を提供している「ラナイ」。オーガニックの可能性を広げる拠点としても注目されています。
ラナイ バイ フレッシュスタート LANAI by FreshStart
2024.07.04(木)
文・写真=伊藤由起
協力=フィリピン政府観光省、shifumy(江藤詩文)
写真協力=Kazuki Kei Kiyosawa