この記事の連載

 フィリピンは、7,641もの島々から成る島国。東京からフィリピンのマニラまでは約4時間半で、時差もたったの1時間しかないという、近しい国だ。

 マニラというとアジア有数の経済圏というイメージがあるが、マニラを擁するフィリピンは、実は日本の面積から北海道を除いた程度の大きさしかない。7,641ある島のうち、主要な11島だけで国土の90%以上を占めるというから、他の島々のサイズがどれだけ小さいか想像がつくだろう。美しいサンゴ礁とサンゴの砂でできた、まっ白なビーチに恵まれた島も多い。


風光明媚な入り江にある小さなリゾート

 今回ご紹介するのは、フィリピンでも手つかずの自然が多く残る、パラワン州にあるエルニド諸島。パラワン州の主島、葉巻のような形をしたパラワン島(長さ約425~450キロメートル、最大幅約40キロメートル)の北部に浮かぶ約50の島々から成る。 「エルニド」は、スペイン語で「ウミツバメの巣」という意味。17世紀にこの海域にやってきたスペイン人が、険しい崖っぷちを飛び交うウミツバメを見て名づけたという。

 マニラからは国内線で約1時間15分。エルニド村の空港から桟橋まで10分ほど車で移動し、ボートで約50分。サンゴ礁の海から空に向かって突き出たような姿をした島々の中に「ミニロック アイランド」がある。リゾートがあるのは、黒大理石(石灰岩)でできた入り組んだ地形の島の南東側、穏やかな入り江のビーチだ。

 「ミニロック アイランド」は、同経営の4つのリゾートのうちのひとつ。エルニド諸島に3島、パラワン島北東に1島のアイランドリゾートがあり、その総称が「エルニド リゾーツ」だ。なかでも「ミニロック アイランド」は最初に造られたリゾートで、「エコ ディスカバリー」というコンセプトのもと、昔ながらのフィリピン建築を生かした造りになっている。

 海を背にして左側に水上コテージがあり、中央にレストランなどのメイン棟、その周囲に客室棟が並ぶ。2019年にはプールも造られた。「持ち帰るのは写真だけ、残すのは足跡だけ」という考えのもと、創業当初から徹底して環境保護に努めている。今でこそ珍しくないゴミを出さない工夫はもとより、汚水浄化設備も充実している。そのようにして守られてきた島の自然は、訪れる人を魅了してやまない。

 リゾートには、50室の客室と、オープンエアのレストラン、ビーチバー、プール、スパ、ミーティングルーム、マシンジムなどがあり、目の前は白砂のビーチとサンゴ礁、背後には急峻な山というロケーション。海と山の美しい自然と、こぢんまりとしたアットホームな雰囲気が人気の秘密だ。

2023.08.19(土)
文・撮影=たかせ藍沙