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制作に携わる立場からおすすめしたい作品

――ランキング入りした作品以外に、シンさんのおすすめはありますか?

シン 制作に携わる身として面白かったのが『カラーラッシュ』(2020年)ですね。韓国BLドラマでは珍しい独特な世界観のある作品です。

 白黒しか見えない「モノ」と呼ばれる人がいるんですが、ある人物「プローブ」に会うと一瞬カラーが見えるカラーラッシュが起きるんです。プローブは自分になかったものを見せてくれる存在だから、モノはプローブに執着して殺人事件などを起こしてしまうことも。

 主人公はモノである母親が失踪してしまったことにより、モノであることを隠して生きてきた人物で、転校先にプローブがいた、というところから始まるストーリーです。

――凝った設定が韓国ドラマっぽいですね。

シン そうなんです。ただ、TVドラマと違って、コンパクトなボリュームのBLドラマでは珍しいケースです。『カラーラッシュ』は、1と2があるからぜひ両方観てほしいですね。

 韓国BLドラマは尺が短いし、新人俳優が多いから高い演技力が求められないコメディが多いんですけど、シリアスな作品もあります。それが『フェンスの外はハッピーエンド』(2022年)。書けなくなった天才作家とベストセラー作家、出版編集者の三角関係を描いたストーリーです。この作品は、BLドラマのシナリオコンテストを行ったIdol Romance (アイドルロマンス) BLウェブドラマ公募展で入賞した作品なんです。

 同じく入賞作品に、ZEROBASEONEのキム・ジウンさんが主演した『プンドク荘304号室の事情』(2022年)、最優秀賞作品には、初恋相手とタイムスリップして巡り合う『ONCE AGAIN』(2022年)があります。大賞の『悲運』はまだ実写化されていないので、期待ですね。

2023.12.29(金)
文=ゆきどっぐ
撮影=佐藤 亘