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K-POPアイドルも多数出演! 盛り上がりをみせる韓国BLドラマ

 コロナ禍の巣ごもり需要で、韓国ドラマ『愛の不時着』(2019年)が日本で大ヒット。『梨泰院クラス』(2020年)、『サイコだけど大丈夫』(同)も話題となり、第4次韓流ブームと呼ばれるまでになりました。

 同じ頃、タイのBLドラマ『2gether(トゥゲザー)』(2020年)の流行をきっかけに、日本に浸透してきたアジアBL。その中でもコンパクトなボリュームながら、韓国ドラマ特有の繊細な演出とK-POP風のイケメン俳優を起用した韓国BLドラマが今アジアドラマ視聴者の間で話題になり始めています。

 コロナ禍ですっかり韓国ドラマにハマったCREAの編集者が、「韓国BLドラマにも手を広げたい!」と韓国BLドラマの買い付けを担当するエイベックス・フィルムレーベルズのシン・ドーンさんの元を訪ねました。韓国BLドラマの特徴や面白い作品を見分けるコツについて伺います。インタビュー【後篇】を読む


韓国BLドラマの特徴は尺が短いこと

――コロナ禍に韓国ドラマ『愛の不時着』と『梨泰院クラス』を観て、すっかりハマってしまいました。最近は韓国BLドラマも気になるんです。いくつか視聴中なんですけど、韓国BLドラマの特徴ってなんでしょうか。

シン まず、1話あたりの長さと話数がどちらも短いことですね。10~12話構成の日本のドラマに慣れている方は16~20話の通常の韓国ドラマは「長い」という印象だと思います。

 ですが、韓国のBLドラマとなると、日本はもちろん、タイ、台湾より尺が短いです。ちなみに、タイのBLドラマをご覧になったことはありますか?

――話題になっているのは、X(旧Twitter)で見かけました。

シン 日本におけるタイBLドラマを語るうえで欠かせないのが、X(当時Twitter)で世界トレンド1位を記録したタイの『2gether(トゥゲザー)』です。主人公がゲイの同級生から猛アタックされたことをきっかけに、学校イチのモテ男にニセ彼氏になってもらうことから始まるストーリー。私がBLドラマと出会ったのもこの作品で、そこから台湾、韓国のBLドラマへと視聴を広げていったんです。

 この作品がきっかけでタイのBLドラマが日本でも大人気になりましたが、タイBLドラマに慣れると、韓国BLドラマの尺が短く感じますよね。タイは45分×12話がほとんどだけど、韓国BLドラマは15分×8話が基本で、合わせても120分。映画1本分の長さしかありません。

 生徒会が舞台の『ひかり男子高生徒会』(2021年)や、韓国でBLブームを巻き起こした『セマンティックエラー』(2022年)から1話あたり20~35分のBLドラマも出始めましたが、その傾向はまだ強いです。海外のファンからも「短くて物足りない」という意見が見られますよ。

――なぜ韓国BLドラマはそんなに短いんですか。

シン 背景には韓国BLドラマがテレビ編成に組まれていないことが関係しているのではないでしょうか? 

 一般的な韓国ドラマはテレビの編成枠に沿って60~70分×16話などの枠で作られますが、BLドラマにはそれがない。裏を返せば自由な尺設定ができるということが、実際には長尺にする費用や制作費が回収できる目途が立たなくて、長い尺のドラマが制作できないんだと思います。

2023.12.29(金)
文=ゆきどっぐ
撮影=佐藤 亘