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 豊かな自然が広がる栃木・那須高原からほど近くにある黒磯町。ここに、県外から多くのカフェ好きが足繁く通うカフェがあります。1988年にオーナーの菊地省三さんが開業した「1988 CAFE SHOZO」は、老朽化したアパートをリノベーションし、廃材や古い建材を使ってデザインされたレトロモダンな佇まいが魅力。当時では珍しいその手法に、多くのカフェが影響を受けたといわれています。

 開業以降も、菊池さんは同じ通りにある空き家を積極的に店舗へとリノベーション。すると店を持ちたいと希望する人が続々と集まり、黒磯が雑貨店やインテリアショップで賑わうようになったのです。

 そんな今日の観光地としての黒磯の礎を作った菊地さんですが、彼の原点である「コーヒー」に掛ける思いとは何か? 多くの人に愛される「SHOZO」のコーヒーについて聞いてみました。

1988年創業“カフェの聖地”と呼ばれる那須・黒磯の「1988 CAFE SHOZO」へ


「シンプルなことで人を幸せにしたい」その答えは山にあった

 36年前に地元である黒磯でカフェをオープンするまでは、バイクで全国を旅していたという菊地さん。

「20代の頃は、全国各地のいろんな店を巡る旅をしていました。そんな旅の最中、バイクで山へ行くことがあったんですが、そのときに飲んだコーヒーがすごく美味しくて! これほどシンプルなことで、こんなにも幸せな気分になれるんだって気づいたんですね。それまで特段コーヒーにこだわりがあるというわけではなかったけど、コーヒーで人を幸せにできるんじゃないかという直感を信じ、カフェを開く道を決意しました」

2023.11.23(木)
文=平野美紀子
撮影=深野未季