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好みはクリーンなアフターテイスト。自らの手で焙煎も
コーヒーといっても、人によって好みやこだわりは千差万別。自分の好きなコーヒーを、同じように好きだと思ってもらえる人に喜んでもらえたら――。そう話す菊地さんが“目指す味”とはどんなものなのか。
「飲んだときに、口の中で濁る感じのテイストが好きではなくて。私が目指すのは、舌からすーっと消えて残らないクリーンなアフターテイスト。飲んだことを忘れるような、まるで水のような美味しさ。それでいて、味はしっかりと感じられるのがいい」
菊地さんに淹れてもらった浅煎りのコーヒーを啜ってみると、たしかに口あたりはスッキリ軽やか、えぐみも感じない。
「このテイストを安定させるためには、豆にこだわるだけでなく焙煎を確立する必要がありました。そのために、1年前に自社の焙煎所を建てたんです。それからは火加減、煎り止めのタイミング、温度など徹底的に追求し、自分で納得のいく焙煎ができたものを店に出せるようになりました。苦手な人が多い浅煎りも、杏を食べたようなフルーティさ、ジューシーさがあっておいしいと評判です」
2023.11.23(木)
文=平野美紀子
撮影=深野未季