この記事の連載

 7日間で薬膳の基礎を学ぶ、短期集中連載「谷口ももよの“一日一薬膳”」。

 年齢を重ねると起こる、さまざまな身体の変化と上手に向き合っていくためにも、自分の身体と対話しながら、ゆるく薬膳をはじめませんか? 薬膳知識のはじめの一歩を、薬膳料理研究家・谷口ももよ先生に教わりました。


「運動する時間なんてありません」へのアンサー

 私、毎年の健康診断では血圧や血糖値、脂質などに問題はまったくなく、いつもトリプルA、とても優秀な成績です。しかも体重は結婚前、出産前とこの20年まったく変わらず、同じ体型をキープしています。

 もちろん陰で努力をしているんですよ。みなさんと同じように仕事、家事と忙しい毎日ですが、忙しいからといって運動を怠ってしまうと、せっかくの食の面の気遣いが無駄になってしまいますから。……なんて偉そうなことを言っていますが、こう考えられるようになったのは、恩師にこっぴどく叱られたことがあるからなんです。

 私が薬膳を教わったその恩師は、80歳を過ぎても精力的に活動され、お肌も健康的なピンク色で、本当にハツラツとお元気な方。朝のお粥と30分の散歩は毎日、欠かさないとおっしゃっておられました。

 ある時、授業の合間に、仕事と家事で忙しくて、運動する時間なんてありませんとついボヤいたところ、「何を人生の優先順位にしているんだね? 忙しいからといって運動をしないのは、自分の命をないがしろにするのと一緒だよ」と呆れられてしまいました。

 健康になろうと薬膳を学んでいる身でありながら、本来の目的を忘れていたことに気付き、目から鱗が落ちました。それ以来、忙しいからというエクスキューズを極力しない自分でいようと改心し、今に至っています。

2023.11.20(月)
文=大滝美恵子
写真提供=谷口ももよ