この記事の連載

 7日間で薬膳の基礎を学ぶ、短期集中連載「谷口ももよの“一日一薬膳”」。

 年齢を重ねると起こる、さまざまな身体の変化と上手に向き合っていくためにも、自分の身体と対話しながら、ゆるく薬膳をはじめませんか? 薬膳知識のはじめの一歩を、薬膳料理研究家・谷口ももよ先生に教わりました。


冬はトマトを食べない方がよい?

 寒いときは身体を温め、熱いときは身体を冷やす。これが東洋医学の基本です。この考えに基づいて、身体の調子を整えられる食材を選ぶことが大切です。

 例えば、トマト。スーパーマーケットでは一年中、買うことができますが、寒いときに食べるのはあまりおすすめできません。いくらトマトは栄養価が高いとか、お肌によいといっても、真冬にたくさん食べることはしないでもらいたいのです。寒い時期にサラダでそのままたくさん食べるなんて、うーん、どうかやめてください。

 トマトの旬は5月から夏にかけて。暑い時期のお野菜です。暑い時こそ、トマトの効能が発揮されます。それは身体の熱を下げ、みずみずしい水分で身体にうるおいを与える働きです。肝機能にもよいといわれますし、イライラにも効果があるんですよ。ほら、イライラすると頭にカーッと血が上りますよね!? そんな時、トマトを口にすれば、熱を下げる効果で、イライラする気持ちを軽減してくれるのです。冗談みたいですが、ホントです。

天気の影響を受けやすい人間の身体

 季節の変わり目の行事を執り行う桃の節句などの「五節句」や、一年を二十四に仕分ける「二十四節気」は中国から来たもの。「節」とは季節のことで、「節句・節気」は季節の変わり目をしめす日です。

 「二十四節気」は農作業を行う目安とされていますが、季節が変わるということは気候が変わるということです。人は天気によって体調に変化を受けやすいので、東洋医学では季節に沿った暮らしをすることが大切だと考えます。人間は自然の一部で、自然と切り離すことはできない、ということですね。体調を整えるために、季節の野菜からパワーを取り込み、暑さ、寒さから身を守り、免疫力を高めていくことが重要なのです。

2023.11.15(水)
文=大滝美恵子
写真提供=谷口ももよ