この記事の連載
7日間で薬膳の基礎を学ぶ、短期集中連載「谷口ももよの“一日一薬膳”」。
年齢を重ねると起こる、さまざまな身体の変化と上手に向き合っていくためにも、自分の身体と対話しながら、ゆるく薬膳をはじめませんか? 薬膳知識のはじめの一歩を、薬膳料理研究家・谷口ももよ先生に教わりました。
毎日5分、鏡の前に立ちましょう
毎日、鏡を見ていますか? 毎朝、毎晩、顔を洗う時にどなたも鏡を見ると思いますが、ただ顔を眺めるだけではダメなんです。
お風呂の時だって自分の身体を見ていますか? いいえ、「あら、また太った!?」と騒げと言っているわけではないのです(もちろん体重計には毎日乗った方がいいですけれども)。
今日はどんな顔をしてる? 疲れていない? 身体は浮腫んでない? 体調や心の状態は顔、身体全体に表れますから、しっかりとチェックをしてもらいたいのです。今日の自分はどんな状態かを知ることが、健康への第一歩です。
東洋医学では身体の好・不調を数値ではなく、自分の感じる症状や、見た目で判断します。見た目とは、顔色、目の色、身体の姿勢、声などのこと。病気の場合、症状が表れる場所は決まっているので、医者は身体全体の状態を目で確認しながら問診・診断します。とくに舌には五臓六腑の状態がすべて表れるので、漢方の先生は必ず舌を見ます。少しピンク色でうっすら苔もあるような状態が健康です。
顔や舌を見るのは皆さん自身でもできますね。普段から身体の声を聞き、どう過ごすか、何を食べるかを考えることが、「未病(まだ病気にはなっていないものの、軽い症状がある段階)」を防ぐことにつながるのです。
舌に真っ白なふさふさしたものがびっしり
私は毎朝、顔を洗う時にまず顔の状態、浮腫んでいないか、目の下にクマがないかを見てから、歯磨きの時に舌の状態を確かめます。何も付いていないかな、昨日と同じ色かな……。10年程前、急に体調が悪くなり、立っていることもままならず、食事もまったく喉を通らなかった日がありました。その時、「そうだ!」と舌を確認したら、なんと真っ白なふさふさしたものが付いていてびっくり。食べ物のカスかと思い、歯ブラシで拭ってみましたが取れず、それは舌に生えた苔のようなものでした。
その夜は食事をとらず、水分をしっかりとって暖かくしてゆっくり寝たら、翌朝ケロッと直っていました。今思うと急性胃炎か胃腸風邪だったようです。再び舌を確認したら、昨日あったふさふさの苔もほとんどなくなっていました。
後で調べたところ、この白い苔は胃腸の機能が低下し、消化不良になっているサインであり、また身体が冷えていることも表しているとのことでした。本当に舌に身体の状態が表れるんだなと身をもって体験したので、それ以来、毎朝、舌のチェックは欠かさず行っています。
2023.11.20(月)
文=大滝美恵子
写真提供=谷口ももよ