世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。

 第16回は、たかせ藍沙さんがスロヴェニアで目にした、LOVEがあふれる風景をご報告。

世界でたったひとつの「love」の国

リュブリャナのブッチャー橋で、自分たちが下げたカギを眺めるカップル

 アドリア海に面し、イタリア、オーストリア、ハンガリー、クロアチアと国境を接するスロヴェニア。知る人ぞ知る美味しいワインの生産国だったり、ヨーロッパ最大の鍾乳洞があったり、おとぎ話の舞台になりそうな美しい湖があったり、100年以上の歴史をもつヨーロッパでもっとも設備が整っているスパのひとつがあったりと、実に見どころの多い国だ。

 この「スロヴェニア」という国名は、英語では「Slovenia」という綴り。よく見ると国名に「love」という単語が隠れているのだ! 実は、英名で「love」が含まれている名前をもつ国は、世界広しといえどもスロヴェニアだけ。観光局のキャッチコピーも「I feel sLOVEnia」となっている。ならば、と現地で捜してみたところ、恋の名所や「love」が、たくさんあった!

それぞれのカギには、ふたりの名前や願い事が書かれていた

 まずは、スロヴェニアの首都リュブリャナへ。古い街並みがロマンチックな旧市街と新市街との間に流れるリュブリャニツァ川にはいくつかの橋が架けられている。3本の橋がひとつになっている「三本橋」、欄干に翼をもつ竜の像がある「竜の橋」が有名だが、今回注目したのは、市場の近くにある「ブッチャー(肉屋)の橋」。橋の床の一部がガラスになっていたり、様々なモダンアート像が飾られていたりして目を引かれるが、橋の柵を見てみるとたくさんのカギがぶら下がっている。実はこれらは、恋愛成就のおまじないなのだとか。首都に、いきなり恋の名所があるのだ。

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2014.01.14(火)
text & photographs:Aisha Takase