この記事の連載

 1981年、尾山台に誕生したオーボンヴュータン。以来、実に40年以上にわたり、伝統的なフランス菓子を作りつづけています。

 唯一無二のおいしさと、ひとつひとつのお菓子が持つストーリー。79歳の今日も元気に厨房に立つ河田勝彦シェフが語るフランス伝統の焼き菓子のおいしさとは?

 【毎日オーボンヴュータン】でお会いしましょう!


#22 ロレーヌ(LORRAINE)

「ロレーヌ地方では、地元で豊富に採れるさまざまな果物を使ったタルトがよくつくられます」と、河田シェフ。

 カスタードクリームをベースとしたアパレイユ(液状の生地)には、卵と生クリームが混ぜ合わせられていて、コクがありつつ、プディングを思わせるふんわり、やさしい食感と味わい。

 中に潜ませた自家製のグリオットチェリーのコンポートが、ふくよかで甘酸っぱい果実味をもたらします。タルト生地にはアーモンドパウダーを加え、香ばしく風味豊かに。アパレイユの表面の焼けた香りと相まって、まろやかさの中に奥行きを醸し出しています。

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河田勝彦(かわた かつひこ)さん

1944年東京生まれ。まだ菓子職人がフランスに渡ることが少なかった時代に、8年間フランス各地で修業を積む。1981年に「オーボンヴュータン」を開店。古き良きフランスの伝統を貫き、骨太な菓子で日本のフランス菓子界を牽引し続ける存在だ。

AU BON VIEUX TEMP(オーボンヴュータン)

所在地 東京都世田谷区等々力2-1-3
電話番号 03-3703-8428
営業時間 10:00~17:00
定休日 火・水曜
https://aubonvieuxtemps.jp/

※ラインナップ、価格等は2022年取材当時のものです。

次の話を読む【毎日オーボンヴュータン #23】 リンゴとマルメロの爽やかさが広がる 「タルト・コワン・ポム」

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2023.08.05(土)
文=瀬戸理恵子
撮影=合田昌弘