この記事の連載

 1981年、尾山台に誕生したオーボンヴュータン。以来、実に40年以上にわたり、伝統的なフランス菓子を作りつづけています。

 唯一無二のおいしさと、ひとつひとつのお菓子が持つストーリー。79歳の今日も元気に厨房に立つ河田勝彦シェフが語るフランス伝統の焼き菓子のおいしさとは?

 【毎日オーボンヴュータン】でお会いしましょう!


#09 パン・ド・ジェーヌ(PAIN DE GENE)

 「パン・ド・ジェーヌ」の特徴は何といっても、ふんだんに使われるアーモンド。アーモンドと砂糖と卵白を合わせ、ローラーで挽いてペースト状にしたパート・ダマンド・クリュ(ローマジパン)をベースに、卵や薄力粉、溶かしバターを混ぜて焼き上げます。

 口に入れるとしっとり、軽やかでアーモンドのコクと風味が豊かに広がります。そして、グランマルニエ(オレンジリキュール)の香りもふんわりと。

 ちなみに、「パン・ド・ジェーヌ」とは、フランス語で「ジェノヴァのパン」の意味。19世紀初頭にイタリアのジェノヴァでフランス軍が敵軍に包囲されたとき、アーモンドと米を兵糧として、兵士らとともに城に3カ月間籠城したマセナ将軍に捧げる思いから名づけられたという、フランスの古典菓子です。

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河田勝彦(かわた かつひこ)さん

1944年東京生まれ。まだ菓子職人がフランスに渡ることが少なかった時代に、8年間フランス各地で修業を積む。1981年に「オーボンヴュータン」を開店。古き良きフランスの伝統を貫き、骨太な菓子で日本のフランス菓子界を牽引し続ける存在だ。

AU BON VIEUX TEMP(オーボンヴュータン)

所在地 東京都世田谷区等々力2-1-3
電話番号 03-3703-8428
営業時間 10:00~17:00
定休日 火・水曜
https://aubonvieuxtemps.jp/

※ラインナップ、価格等は2022年取材当時のものです。

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2023.07.23(日)
文=瀬戸理恵子
撮影=合田昌弘