クリスマスを題材に19人の男女が織り成す9つの愛の物語

◆『ラブ・アクチュアリー』(2003年/U-NEXT)

映画『ラブ・アクチュアリー』。
映画『ラブ・アクチュアリー』。

 続いて紹介するのは、先ほど紹介した『バレンタインデー』と同様、グランド・ホテル形式を取り入れた『ラブ・アクチュアリー』です。メガホンを取ったのは、『ノッティングヒルの恋人』や『ブリジット・ジョーンズの日記』の脚本を手がけたリチャード・カーティス。なんと本作が初監督作作品で、彼がそれ以前に映画やテレビ番組で共にした俳優を中心としたアンサンブル・キャストを特徴としています。

 集結したのは、監督であるリチャード・カーティスにゆかりのあるヒュー・グラントや、日本でも大人気のハリー・ポッターシリーズに出演しているアラン・リックマンなどイギリスを代表する名優たち。さらにキーラ・ナイトレイ、コリン・ファース、マーティン・フリーマンなど名だたるキャスティングにも大注目です。

 舞台は冬のロンドン。ストーリーはクリスマスの5週間前から始まり、クリスマス当日、そしてクリスマスから1ヶ月後にエンディングを迎えます。さまざまな境遇を持つ男女19人の恋の行方を、9つの物語として同時進行していきますが、最後には彼らの物語が互いに繋がっていたことがわかる展開に。

 物語は、新たに英国の首相となったデイヴィッドによるナレーションで始まりますが、肝心のデイヴィットは国民からの期待とは裏腹に、一目惚れした秘書のナタリーのことで頭がいっぱい。一方ロンドンの街では、恋人に裏切られて傷心中のある作家が、言葉の通じないポルトガル人の家政婦に恋をするなど、さまざまな人間模様が並行して繰り広げられていきます。

 本作の一番の魅力といえば、やはり豪華すぎるキャスト陣。実力派俳優陣による友情、家族愛、恋愛が複雑に絡み合った人間関係と、愛が持つリアルな側面がスクリーン越しに伝わってきます。さらに続編として、2017年に『レッド・ノーズ・デイ・アクチュアリー』という約16分の短編映画が公開されていますので、気になる方はぜひ観てみてはいかがでしょうか。

あらすじ

クリスマスまであと5週間。イギリスを舞台に11歳の少年から首相まで、さまざまな人々の愛が描かれる。最後に待ち受けているそれぞれの主人公の出した答えとは。

2023.02.11(土)
文=加藤棗(A4studio)