●すべてを学んだ「仮面ライダーエグゼイド」の1年間
――俳優デビューにして、ドラマ出演&主演となったわけですが、ライダーを演じた16年から17年にかけての1年間でどんなことを学んだのでしょう。
最初の頃は無我夢中だったので、考える余裕もなかったし、あまりに忙しすぎて記憶が飛んでいるぐらいです(笑)。ただ、『劇場版』を撮ったり、インタビュー取材を受けたり、いろんなことをしていくうちに、みなさんに支えられることで、役者として作品を背負っていることに気づき始めました。何も知らない小僧がすべてを学ばせてもらった学校というか家族のような現場でしたね。
――ご自身にとって転機となった作品・出来事を教えてください。
「ライダー」は人生の転機となった作品ですが、役者としては、その後に出演させていただいた作品ですね。具体的に「この作品」というよりは、仮面ライダーエグゼイド、そして宝生永夢以外の人物を演じさせていただいた作品と言っていいかもしれません。
――その後、17年から男性エンターテイメント集団「男劇団 青山表参道X」メンバーになり、舞台経験を積むことになります。
舞台はナマモノなので、映像とは全然違いましたね。アドリブの入れ方とか、喉を潰さない声の出し方とか、映像ではうるさくなってしまう全身での表現方法といった、技術的なものをたくさん学ばせてもらいましたね。
●同世代の役者との共演から得たもの
――出演映画の話になりますが、横浜流星さん、清原果耶さんらと共演された19年公開の『愛唄 -約束のナクヒト-』では、元バンドマンの龍也というキーパーソンを演じられました。
この作品は「ライダー」が終わって、すぐの撮影でした。バンドマンの役なのに、僕自身はこれまで音楽にガッツリ触れてきたこともなくて、初めて音楽を通しての表現法について知ることができた作品です。上手に歌うことが正解ではないことを知ることができましたし、分からないなりに直感みたいなものを重視して演じたのですが、「結果的にアーティストっぽい方向に繋がった」と、プロデューサーさんに褒めていただいたのも良かったです。
――また同年公開の『PRINCE OF LEGEND』では片寄涼太さん演じたセレブ王子・奏の右腕となる側近・鏑木を演じました。
誰かに仕えるという、かなり独特な役を演じるのは楽しかったですね。年齢的にも役柄的にも、どこか弟感もありつつ、陰で嫉妬心を秘めている感じを出していこうと思っていたのですが、たまたま現場で出たミラクルというかアドリブもあり、最終的に誰からも愛される「Team奏」を作ることができました。
――21年公開の『ブレイブ -群青戦記-』では演じられた、フェンシング部を代表して戦国武将に立ち向かう成瀬役も印象的でした。
フェンシングも、これまでやったことはなかったスポーツだったので、だいぶ練習しました。有難いことに、日本代表の小学生と中学生と試合する機会をいただけるなど、このときの経験も貴重なものでした。また、映画の中で、僕とバディとなるのが、福山翔大くんが演じた空手部員なので、そこから生まれるアクションシーンもあって、思う存分暴れさせてもらいました(笑)。あと、剣道部員役だった鈴木伸之さんから、サウナの奥深さを教えてもらい、今でも週1ペースで行くぐらいハマっています。
2022.10.21(金)
文=くれい響
写真=鈴木七絵
ヘアメイク=佐藤友勝
スタイリスト=中西ナオ