●新作映画では、「カメラ撮影」としてもクレジットに登場
――22年公開の『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』で演じたイケメン霊能者・ナナシは、同じ白石晃士監督作の『カルト』で三浦涼介さんが演じたNEOのオマージュといえる役柄でした。
作品自体が白石監督の集大成的な意味合いがあるので、僕自身もNEOのイメージを大切に、できるだけ崩さないように演じました。あと、ナナシは普段口が悪くて冷血な男かもしれないけれど、人としての優しさを持っている人なんじゃないか? と思いながら、ちょっとしたツンデレ感も出してみました。
――そして、最新出演映画『炎上シンデレラ』では田中芽衣さん演じるヒロイン・みつほを主演に映画を撮りたい監督志望の青年・田代良一を演じています。
撮影前に尾崎将也監督といろいろお話させていただく機会があったのですが、監督がほぼ田代良一なんです。なので、映画という好きなことにまっすぐな田代の想いを大切にしながら、監督の言動みたいなものも参考にしました。メガネに関しては最初からかけることが決まっていたのですが、監督もメガネをかけていることが多いんです。あえて、おしゃれすぎないものを選んでかけました(笑)。
――エンドロールではキャストのほか、「田代カメラ撮影」として、スタッフの一人としてもクレジットされていますね。
撮影側に回るということは、まずないことですし、カメラで被写体を捉えるということは純粋に楽しかったです。田代のように「こう撮りたいです」ということを主張しつつ、教えていだだきながら撮ったのですが、ピントに関してはオートですが、画角によって見え方がぜんぜん違ってくるんですよね。クライマックスのいちばん重要なシーンまで任されたプレッシャーもありましたが、完成した作品を観たときは「いいじゃん!」と思える出来栄えでしたね(笑)。
●これまでの経験値と生意気な初心の気持ちを大切に
――そんな『炎上シンデレラ』の見どころを教えてください。
現実と直面することで、それまで持っていた夢を諦めてしまうことってあると思うんですよ。でも、完全に捨てることはないということを教えてくれるような映画になったと思います。みつほに出会ったことで、さらに夢を追い続けた田代に注目してもらえたら嬉しいですね。あと、間の芝居にも注目してもらいたいです。
――飯島さんの今後の展望や目標があれば教えてください。
この仕事は、自分以外の人間の人生を演じるので、とても新鮮で楽しいです。しかも、それをいろんな方に見ていただけることは幸せですし、それがみなさんの人生のエンタメになってほしいとも思っています。これまで年齢を重ねてきたことによる経験値や、「ライダー」のオーディションを受けたときから持っていた生意気な初心の気持ち。これらを大切にしながら、今後もいろんな作品に取り組んでいけたらと思います。
自分は自分なので、特に目指す人はいないですが、「飯島ってカッコいい役者だよね」と言われるようになりたいです。
――前進するためには息抜きも必要です。サウナによく行かれると聞きました。
そうですね! 疲れも取れるし、精神的にもリラックスできて、「明日も頑張ろう!」って気持ちになれるんですよ。プライベートでよく会う友だちにも、ご飯に行くような軽い感じで、サウナを勧めていたので、いつの間かにサウナの教祖みたいな感じになっちゃいました(笑)。
飯島寛騎(いいじま・ひろき)
1996年8月16日生まれ。北海道出身。15年、第28回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリ受賞。16年放送の「仮面ライダーエグゼイド」にて宝生永夢/仮面ライダーエグゼイド役で俳優デビュー。映画・ドラマ・舞台と俳優として着実に実績を重ねている。
『炎上シンデレラ』
初主演映画の撮影中にスキャンダルを起こし、表舞台から姿を消した女優・みつほ(田中芽衣)。彼女の主演映画を構想していた撮影スタッフの田代(飯島寛騎)は、1年後に彼女と偶然に再会。自身の夢を語る田代だったが、実現する可能性はゼロ。その後、みつほが小劇団の舞台の復帰が決まり、田代がメイキング撮影を担当することになる。
https://cinderella-movie.jp/
2022年11月4日(金)より池袋HUMAXシネマズほか、全国順次公開。
(C)クエールフィルム
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2022.10.21(金)
文=くれい響
写真=鈴木七絵
ヘアメイク=佐藤友勝
スタイリスト=中西ナオ