みんなそれぞれだよね

「世の中の変化も作品に大きく作用していると思います。例えば女性の働き方や生き方に対して、あるいは男性であれゲイの方たちに対しても、“これが幸せ”という型にハマった価値観の存在が弱まり、“みんなそれぞれだよね”というふうに世の中全体の受け止め方が、昔に比べてやわらかくなりました。『きのう何食べた?』でシロさんの親御さんが、息子の同性のパートナーであるケンジへの態度を軟化させた理由は、連載開始から15年ほどの社会の変化も明らかに影響していると思うんです」

 長編次回作は、俳優が登場する芸能界モノになる予定だという。

「取材がコロナ禍でストップしてしまっているので、新連載が始まるのはまだ少し先になります。ここから先1年半ぐらいは、短編のお仕事をする予定です。10年以上前にした“いつか描かせてください”というお約束を、ようやく果たすことができそうなんです(笑)」

『西洋骨董洋菓子店』よしながふみ

舞台は深夜まで営業している洋菓子店、アンティーク。オーナーで販売・ホール担当の橘圭一郎。若き天才パティシエにして「魔性のゲイ」の小野裕介。小野の弟子となる元ボクサーの神田エイジ。そこへ謎の男・小早川千影がホール補佐として加わって……。さまざまな理由で店を訪れる客たちと、心を交わし合う。
新書館 各693円 全3巻/文庫版

よしながふみ

『月とサンダル』で商業デビュー。2004~20年まで連載された『大奥』で、第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞や第42回日本SF大賞など多数の賞に輝く。現在「モーニング」で『きのう何食べた?』を連載中。

2022.11.06(日)
Text=Daisuke Yoshida
Photographs=Tomosuke Imai

CREA 2022年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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